31.システム(1)
「んー! 良く寝た! さて、今日の日常クエストは?」
朝起きると、決まって日常クエストを確認する。いつものようにウィンドウを開いた――その時。
「んん?」
開いたウィンドウに重なるように、また新しいウィンドウが開く。その重ねられたウィンドウには文字が書かれてあった。
『システム管理よりお知らせ』
「システム管理よりお知らせ~!?」
なんだ、どうした!? 私のウィンドウにはシステム管理なんてものがついていたの!? そんなの初耳なんだけど!
「じゃあ、このウィンドウは管理されているってことなのか……。なんか、一気に現実感が……」
現実感というか、ゲーム感というか……。摩訶不思議なスキルだと思っていたから、いきなりシステム管理とか出てきて驚いちゃった。
「じゃあ、そのシステム管理からはなんて?」
一体、なんのお知らせなんだろうか? 題名から下に進んで読んでみると――。
『神です』
「神かよ!」
システム管理って神様がやっているってこと!? いや、でもそれだったら納得がいく。だって、このスキルは神様がくれたものだから、システム管理をするのも神様だと、なんらおかしくはない。
で、その神様がなんの用事?
『異世界転生して楽しんでいますか? 前世では本当に苦労をして、楽しくない人生だったでしょう。だが、しかし! 我が世界に来たからには、十分に楽しんでいただきたいと思いまして!』
「いや、いきなり熱いテンションに変わられても困る! もっと、平坦に行こうよ!」
『前世の時にはゲームを楽しんでいたみたいだったので、ゲームっぽくすれば楽しめるかなっと思いまして、ウィンドウというスキルを与えました。色々なことが出来て楽しめる要素をふんだんに盛り込みました』
なるほど。神様は前世の私を知っているらしい。その前世に同情したのか、私にウィンドウというスキルを与えてくれたようだ。お陰様で、楽しめているよ。
『※尚、このウィンドウは開発途中なので、システムが思いつきで変更されることがあります』
「突っ込みたいところ、ありすぎー!」
色々さー、言いたいことはあるけどさー。とりあえず、言わせてもらうと……開発途中なものを投げてくるなー!
『ですので、まだこのウィンドウは完璧ではありません。だけど、神一人で開発するのは大変なので、テスターとして協力してくれませんか?』
「完成品だと思ったら、開発途中な上にテスターをさせる気!?」
『改良ポイントとかあったら教えてくださると嬉しいです。システム項目を増やしておいたので、そこからメールください。本当にもう、とても……お待ちしております!!!!』
「めちゃくちゃ、困ってるじゃん!」
テスターとして働いて欲しそう感!
「でも、確かに……。ちょっと、微妙なところがあったんだよね」
ウィンドウを使ってみて、微妙だったところがある。それは好感度や愛情度が変化した時、いちいちウィンドウを開かないと確認出来なかったことだ。あれが、地味に面倒。
どうせなら、画面を見ているような気軽さで表示してほしいものだ。
「開くのが面倒だから、変更があった項目はウィンドウが勝手に表示出来るようになるのはどうだろう? それだったら一目で分かるし、ウィンドウを開く手間も省ける」
うん、その変更点を要望しよう。あと、変更して欲しいところは……。
「もっと、ゲーム感を強くしたいな。何かが足りない……。そうだ! 効果と効果音だ! それがあればもっとゲーム感を出せるかもしれない!」
何かがあった時に出てくる効果と効果音。それがあれば、普通の会話も楽しくなるかもしれない。
「うん。とりあえず、この二点を要望として出してみよう。えーっと、システムの項目は……あった!」
ウィンドウのシステム項目を開く。すると、文字を入力する画面が出てきた。その画面に向けて文字を入力し終えて――。
「よし、送信っと!」
これで、神様に要望を送れただろう。あとは、要望を聞き入れてくれるか、どんな風に変化をつけてくれるか、楽しみに待つだけだ。
「じゃあ、早速日常クエストをやっていこう」
今日の日常クエストにお手伝いをする、と書いてあった。だから、朝食の準備を手伝おうと思う。くっくっくっ、朝食の手伝いをするだけで、一つのクエストが完了するなんて、簡単すぎる!
急いで服に着替えると、一階に下りて行った。台所に行くと、丁度母さんがエプロンをつけているところだった。
「母さん、おはよう」
「あら? リオ、おはよう。今日は随分と早いわね」
「うん、たまには朝食の手伝いをしようと思ってね」
「それは助かるわ。じゃあ、リオは燻製肉と卵を焼いて頂戴」
「分かったー」
台所の隅に重ねてある薪を手に取ると、かまどに入れる。火種を用意して、火打ち石で火をつける。あとはトングで火種を薪の中に入れれば、薪に火が燃え移る。
「かまどに火をつけておいたよー」
「あら、ありがとう。先にリオが作ってから、後でスープを温めるわね」
手慣れた手つきでフライパンをかまどの上に置くと、油を引いて、まずは燻製肉を焼き始める。ジューッという音とともに良い匂いが漂ってきた。
「はい、燻製肉終わり。次は卵ね」
燻製肉はすぐに焼き上がり、トングで皿に盛り付ける。次にフライパンに卵を割り入れて、焼いていく。すると、良い感じに卵が固まった。
その卵を皿に盛り付けると、一皿が完成した。
「母さん出来たよー」
「じゃあ、スープを温めるから、リオはパンを用意して」
「分かったー」
おかずが乗った皿を席の前に並べ、次に台所の棚を漁る。そこには昨日買っておいたパンがあり、籠ごとテーブルの上に置いた。あとはカトラリーを並べれば、朝の準備が完了した。
「母さん、準備出来たよー」
「もうできたの? リオ、ありがとう」
笑顔でお礼を言った瞬間、ピロンという通知音が鳴り、目の前にウィンドウが現れた。
『ミレイ・グランデ 好感度1アップ』
こ、これは!?
驚いていると、母さんの後ろから突如として木々が生い茂り、実が生る。動物たちが出てきて、声を上げだした。そして、そこにに虹がかかり、キラキラとした光が輝いた。
な、な、な、なんじゃこりゃーーー!!




