12.ポイントの使い方
「リオー。今日は一緒に遊ぶ?」
「いや、やる事あるから無理!」
「そっか! じゃあ、また次の学校で!」
「うん、またねー!」
楽しい昼食の時間が終わり、私は急いで学校を出た。家までの道のりを駆け足で進む。早く家に帰って、日常クエストをクリアしなければ!
長い道のりを息を切らしながら進むと、家が見えてきた。正面はお店になっていて、家は裏面にある。お店の中から入らずに、裏面に周り、裏玄関を開けて中に入る。
「ただいまー!」
慌ただしく家の中に入ると、台所に直行する。昼食のサンドイッチが入っていた箱と袋を置き、急いで自分の部屋に向かう。
部屋に入ると、机に鞄を放り投げて、ベッドに腰かける。
「さて、今日の日常クエストはっと……」
ウィンドウを開いて、朝見た日常クエストを確認する。すると、一つのクエストが完了していた。
「おっ、読書のクエストが完了してある。そうか、授業で教科書を見ていたから、達成されたんだ」
これはラッキーだ。一時間、得をしたことになる。
「じゃあ、まずは自分の部屋の掃除から始めようかな」
早速、日常クエストをクリアするために動き始める。掃除用具を取って来ると、部屋の掃除を開始した。
埃を取り、机を綺麗に拭き、床を掃いて、床を拭く。そうすると、ピロンと通知音が鳴った。
「おっ、自分の部屋の掃除はクリア! 10ポイント、ゲットだね!」
昨日よりも簡単にポイントが入手できた。昨日と似たクエストだったから、どうやればいいかコツは掴めた。掃除系のクエストのやり方は分かったから、今後は色々と考えなくて済みそうだ。
「次は腕立て伏せしてスクワットをしよう」
これが一番早い。ベッドから降りると、床に手をついて腕立て伏せをする。子供の体は軽いから腕立て伏せの負荷が軽くてとてもやりやすい。だけど、腕に筋力が少ないから、そう簡単にはいかない。
だんだんと辛くなる腕に力を入れて、なんとか五十回の腕立て伏せが終わった。
次に立ち上がり、スクワットをする。普段から歩き回っているせいか、足腰は意外と強い。そんなに苦にならず、すぐに五十回が終わってしまった。
「ウィンドウはっと……うん、ちゃんとクリアしている。次は工作一時間でもしようかな。でも、何をしよう……」
手を使う物がいいんだよね。だけど、この世界の工作って職人の人しかやっていないし、異世界の工作は難しそうだ。ここは、前世の工作で何かないかな?
ウィンドウを開き、ポイント交換の欄を表示する。工作で使える物を検索すると、色んな物が出てきた。
「へー、色々あるなー。この中で何か出来そうなものは……。あ、これなんていいんじゃない」
見つけたのはかぎ針編みの本だった。これだったら手先を使うものだし、作った物は何かと使えそうだ。うん、これにしよう。
「えーっと、本が5ポイントか。結構、高いな。でも、今後も使いそうだし、ここは投資をしておこう」
本をタップすると、目の前に本が現れた。その本を受け取り、机に向かう。
「どれどれ……。へー、色んな物が作れて、楽しそう。実用性のあるものが作りたいな。んー……ここはやはりバッグか」
本を捲って目についたのはトートバッグ。複雑な形もしていないし、工程も分かりやすく書いている。これなら、自分でも出来そうだ。
「かぎ針セットが3ポイント、糸が一種類1ポイントか。このトートバッグを作るなら二種類の糸を使うから、2ポイント分の糸が必要っと」
ウィンドウを開き、すぐにかぎ針セットと糸をタップする。すると、机の上に道具が現れた。
「よし、来た! じゃあ、工作一時間、頑張るぞー!」
早速道具を手に取り、かぎ針編みを始めた。
◇
ピロン
「ん?」
かぎ針編みに集中している時、通知音が響いた。何かと思いウィンドウを開くと、日常クエストの工作一時間が達成されていた。
「おっ、クリア出来た。やったー、今日の日常クエスト完了!」
今日の日常クエストの欄を見て見ると、全部のクエストにクリアの文字が表示されていて、ガチャの欄を見るとガチャの回数が一回分増えていた。
「一日に入手出来るものは少ないけれど、これを毎日やっていったら、いずれ凄い事になるかも」
ステータスの数値を上げていき、いずれ他のスキルや魔法なんかも覚えていければ、今後の役に立つ。見習いになるころには、すんごいステータスになって、スキルも魔法もバンバン出来るようになっていたら、きっと楽しい。
ステータスはこのまま伸ばしていくとして、ポイントの使い方をどうするかだ。今日は工作のクエストをクリアするために10ポイントも使ってしまった。こんな風に使って行けば、ポイントは貯まらない。
「やっぱり、ポイントは貯めておいたほうがいいよねー。それで貯まったポイントを前世の物と交換して、お店で売る。そして、お金を稼ぐ!」
自分で使うっていう手もあるけれど、道具屋の娘としては前世の品物を使って商売もしてみたい。お金はあった方が何かと便利だし、欲を言えば生活を良いものに変えたい。
「とりあえず、十日間。ポイントを貯めていこう。あと、ガチャの回数も貯める。前世のガチャではまとめて引くと良いことがあったから、まず一回体験してみよう」
ポイントを貯める事、ガチャの回数を貯める事。少しずつ方向性が固まってきた。
「あとは、ポイントを何と交換するかだよね。あんまり高度じゃなくて、便利な物……何かあるかな?」
高度過ぎてもダメだし、かといって利便性がないのもダメだ。検索機能で交換できる品物を見ていく。何か良い物は……。すると、目に留まった品物があった。
「あっ、これなら異世界で見たことがないし、高度過ぎでもない。うん、交換する品物はこれにしよう」
ポイントで交換する品物が決まった。良い物が見つかって本当に良かった。これならば、きっと売れる。いや、絶対に売れる!
「くっくっくっ。これを大量に売りさばいて、一気に小金持ちになってやる! 待っていろ、異世界!」
この勝負に勝ってやるからな!
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