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元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~  作者: 鳥助


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10/20

10.職業体験はどこに行く?

 歓声と悲鳴が響いた席替えが終わり、教室は静かになった。それを見計らい、先生が授業を始める。


「じゃあ、今日は先日から言っていた職業体験の希望を聞く締め切りです。どんな職場があるかおさらいしましょう」


 そう言って、先生は職業体験先を一つずつ説明していった。薬草師から始まり、鍛冶工房や魔道具店。料理人があり、宿屋もある。その一つ一つを丁寧に説明していった。


「以上が職業体験先です。行ける場所は二つまでだから、紙に書いたら私のところに持ってきてください」


 先生は話ながら、紙を配った。すると、教室のざわめきが強くなる。


「友達と相談しながら決めてもいいし、先生に相談してもいいですよ。締め切りは三十分です。では、書いてください」


 先生の言葉に教室中がワッと騒がしくなった。席を立って友達と話にいったり、先生の所に行って話を聞いたりと様々な。


 そんな中、私は席から離れず、紙と睨めっこしていた。


「うーん……」

「リオ、凄く悩んでいるね。何で悩んでいるの?」


 唸っていると、隣の席のルメルが話しかけてきた。


「一つは冒険者って決まったんだけど、もう一つが決まらなくてね」

「そうなんだ。実は私もそうなんだ。私は家の料理店を継ぐつもりだから、一つは料理店で決まったんだけど、もう一つが決まらなくて」

「一つ決まったものがあれば十分なのに、二つも決めるなんて難しいよ」

「まぁ、それはきっと可能性を広げたいからじゃない? もしかしたら、一番に決めたところよりも二番目に決めたところのほうが適性があったり」


 言いたいことは分かる。可能性は一つより、二つあったほうがいい。だけど、これって決まった道以外を決めるのが難しんだよ。


「ルメルはどうやって決めるの?」

「私は純粋に興味があるものにしようかな。やってみたい、とか、見て見たいっていう気持ちになるところ」

「見て見たいかー。確かにそれから始まりそうだね」

「だから、どんなものでもいいと思うよ。ちょっとした興味で決めてもいいんじゃない?」


 ちょっとした興味から始まるのも面白そう。どうせなら、自分が楽しくなるものを選びたい。


 楽しいもの……。そう考えていた時、見回っていた先生が近づいてきた。


「二人は決まった?」

「全然決まりませーん」

「私も中々決まらなくて……」

「リオは前にギルド職員とか料理人も良いって言ってなかった?」

「あー、やっぱりパスで」

「心変わりが早いわね」


 先生は呆れたようにため息を吐いた。


「第一志望は……冒険者のままね。じゃあ、そこから視野を広げてみたらどうかしら?」

「冒険者から視野を広げる?」

「冒険者のように出来る仕事を考えてみるのよ。それに似たものだと、興味が沸かない?」

「まぁ、それはそうだけど……。冒険者に似た仕事って何かあるんですか?」


 冒険者に似た仕事って言われても、パッとは思いつかない。先生に相談すると、真剣に考えてくれた。


「騎士団なんて似ているんじゃない? 魔物を倒すお仕事だし、冒険者よりは堅実だと思うわよ」

「騎士団かー」


 なるほど、騎士団っていう手もあるのか。でも、自由な冒険者に比べれば規律は厳しそうだし、堅苦しい仕事そうだ。


「リオが騎士団……か。うん、カッコよくて素敵だね。リオのイメージとはちょっと違うけど、そういう道もありなんじゃない?」

「そう? まぁ、なるとは決まっていないし、ただ見に行くだけなら面白いかもね」


 異世界の騎士団、気になるなー。やっぱり、騎士団って言ったら異世界を代表するものだし、一度は見ておきたい。


 将来、騎士団になるって決まってないから、空欄埋めのために騎士団に決めちゃおうかな。だったら、他のも見ておきたいっていう気もしないでもない。


 どうするべきか……。そう悩んでいた時、目の間にウィンドウが開いた。そこには「騎士団にする」「他のにする」という表示がされている。


 ほうほう、運命の選択ですか。これで、私の何かが変わるって言っているようなものじゃない。これは、気合を入れて選ばないと。


 騎士団の仕事と言えば、魔物討伐。町の警護。王族の護衛、などがある。それらは冒険者の仕事に近いものだから、私のやりたいことと近いのは頷けた。


 とはいえ、騎士団って一口に言っても、ただの兵士集団じゃない。上には上、貴族出身の騎士様たちがいて、下には領民出身の兵士や見習いがいる。立場も身分もまちまちだ。


 戦うだけじゃなく、駆け引きもある。人間関係も、上手く立ち回れば大きな味方ができる。正直、平穏無事な職場より、そういう波乱があるほうがワクワクする。


 気づけば、頬が少し緩んでいた。うん、興味が湧いてきた。私は「騎士団にする」をタップして、紙に記入をした。


「あっ、リオは決めたの?」

「うん、騎士団にした。ルメルは?」

「私は先生と話して、調理に似たことが出来る薬剤師にしたよ。調理とは違う事をやるから、楽しそうだなって思ったの」

「へー、いいんじゃない。やっぱり、仕事にするなら楽しいものにしなくちゃだね」

「うん!」


 冒険者の方が楽しそうだけど、よくよく考えたら騎士団も楽しそうな事がありそうだ。


 あの選択肢は私をどんな未来に連れて行ってくれるのか、考えるだけでワクワクが止まらない。早く、職業体験の日にならないかな。

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