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第七章 運命の反逆
王太子の婚約発表の日。
ゲームでは、ミランダが妨害して追放される日。
だが、もちろん、私は何もしない。
代わりに、レオと共に宮廷を抜け出し、辺境の彼の城へと向かった。
「逃げるの?」
「いや。選んだだけだ」
「選んだ?」
「二人で生きていく道を、選んだ」
「……私たち、これから、どうなるの?」
「わからない。だが、もう、孤独じゃない」
レオの手を握り、私は馬車の車窓から空を見上げる。
追放されなくても、貴族社会から離れることを選んだ。
善人でも悪役でもなく、ただ“私”として生きる道を。