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第三章 孤独な男爵令息


 ある日、宮廷の図書館で、一人の少年と出会った。

 彼の名前はレオ・ヴァレンタイン──辺境の男爵家の令息で、魔術の才能があるが、性格が暗く、誰とも交流を持たないことで有名だった。


「……邪魔だ」


 私が席に座って本を呼んでいると、彼は冷たくそう言い放った。


「そこは、私の席だ」

「あ、ごめんなさい……直ぐに退きますね」


 愛想笑いをして見せると、レオは溜め息を吐く。


「……お前もか。表層的な優しさで、誰にでも微笑む。本当に見苦しい」


 私は内心で凍りついた。


──見抜かれた?


 私の“善人”は、演技だ。

 心の底では、この世界に違和感を覚え、孤独に怯え、ただ安全を求めていただけ。


「なぜ嘘を吐く? 何が目的だ? 私に媚を売って、何か見返りでも欲しいと言うのか?」


 見当違いなことを、次々と並べ立てられ、私は少し腹が立った。


「……あなたには、関係ないでしょう? どうせ、ミランダ(わたし)には、孤独がお似合いなんだし……」


 思わず素が出て、つい本音を吐露してしまった。

 私の言葉を聞いて、レオはほんの少し目を細めて、笑って見せる。


「ほう。やっと、本性を見せたな」

「……え」

「嘘つきな偽善者より、正直な悪役の方がましだ」


 そう言って、レオは去っていった。

 だが、その言葉が、妙に胸に刺さる。



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