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迷貨のご利用は計画的に! ~幼女投資家の現代ダンジョン収益記~  作者: 旅籠文楽
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63/68

63. 《個物投資》

 



+----+

《個物投資》/異能


 自身が所有する、またはまだ誰にも所有されていない

 物体を『投資対象』として登録可能になる。


 『迷貨』を投資して対象物の性能を強化すると共に

 ランダムな効果から1つ選択して永続付与する。


 あなたは当該物体の永続的な所有権を獲得して

 望めばいつでも手元に呼び出すことが可能となる。


+----+




 レベルが『6』に上がった際にスミカが得ていた《個物投資》の異能は、端的に言うと『物体に対して投資を行う』能力だ。

 これまでにスミカは『人』や『ダンジョンの階層』に対する投資を行ってきたわけだけれど。この投資能力を用いれば『物体』への投資も可能となる。


 説明文には、投資された物体の性能が強化されることが明記されている。

 なので、この能力を用いて魔法の鞄への投資を行えば、その収納能力が強化される可能性も、低くないように思えた。


(……ま、とりあえず試してみよう)


 そう考えたスミカは、自身の持つ魔法の鞄を見つめながら《個物投資》の実行を意識してみる。

 すると――その投資の実行のために『金貨10枚』が必要なことが、自然と頭の中に理解できた。

 安くはない投資コストだが、今のスミカにとって躊躇する額でもない。




+----+

▼永続効果を1つ選択して投資対象に追加できます。

 選択せずキャンセルすると、投資額の90%が返却されます。

-

〔自動回収〕


  討伐した魔物が落とす全てのアイテムを自動的に回収する。


-

〔複製器〕


  収納中の任意のアイテムを一定時間毎に複製する。

  複製に要する時間はアイテム毎に異なる。


-

〔敏捷強化〕


  装備者の[敏捷]が3点増加する。


+----+




 《投資口座》の残高から金貨10枚を消費すると、スミカの視界に1つのウィンドウが表示された。

 どうやら《個物投資》により、現在ウィンドウに表示されている3種類の効果の中から1つを選択して、投資対象のアイテムに追加できるようだ。


 あるいはどの効果も選択せず、投資自体を取りやめにすることもできるようだ。

 その場合は投資額の90%――即ち、いま消費した金貨10枚のうちの9枚分が返却されるらしい。


(どれも結構、嬉しい効果ではあるね)


 3つ提示されている効果はいずれも、間違いなく有用なものだ。

 魔物がドロップした小さいアイテム類も、〔自動回収〕の効果があれば見落とすことなく回収できそうだし。

 〔複製器〕の効果があれば、これまでに幾つか拾っている霊薬(ポーション)系のアイテムを複製して増やすことができる。複製にどれぐらい時間が掛かるのかは判らないけれど、回復アイテムの備蓄数を増やしておけるのは魅力的だ。

 〔敏捷強化〕は言うまでもなく近接戦闘をする上で役立つ。自分自身の能力値投資で強化できないスミカにとって、[敏捷]+3の効果はかなり大きい。


 少し悩んだ結果――スミカは頭の中で『キャンセル』を選択する。

 すぐに《投資口座》の残高に金貨9枚が返却されたことが、感覚で判った。


(とりあえず一度、再実行時にどうなるかを確認しておかないとだよね)


 そう考えながら、スミカは再び《個物投資》の実行を頭の中で意識する。

 すると先程と同じように《投資口座》の残高から金貨10枚が消費されたあと、スミカの視界に再び1つのウィンドウが表示された。




+----+

▼永続効果を1つ選択して投資対象に追加できます。

 選択せずキャンセルすると、投資額の90%が返却されます。

-

〔幸運強化〕


  装備者の[幸運]が3点増加する。


-

〔自動修繕〕


  収納品の破損状態を徐々に修繕する。

  修繕に要する時間は破損状態やアイテムによって異なる。


-

〔知性付与〕


  投資対象品が独立した知性を有するようになる。

  また念話による意思疎通も可能となる。


+----+




(おおー……!)


 付与できる永続効果の候補が、先程とは総変わりしているのを見て。思わずスミカは頭の中で歓喜の声を上げた。

 どうやら《個物投資》の異能は一度キャンセルして再実行すると、その度に追加できる永続付与の候補3つが再抽選されるらしい。


 もちろんキャンセルする度に、投資額の10%――金貨1枚を失うけれど。

 逆に言えばこれって、金貨1枚のコストさえ許容できるなら、何度でもガチャを引き直せることに等しいのでは……?


 ――とりあえず、いつまでもお店のサッカー台を占拠していては悪いから。

 空いているレジで袋を2枚購入し、魔法の鞄に入り切らなかった購入品を一旦そちらへと詰め込み、両手にレジ袋を抱えながら店を出た。


 そして、お店の前に停めてあるクロスバイクの元まで移動してから、改めて《個物投資》をやり直してみる。

 1枚ずつではあるけれど、金貨を惜しまず消費していき、良さそうな永続付与の候補が出るまで、何度でもキャンセルと再挑戦を繰り返していった。




+----+

〔子機〕


  10日毎に1個まで『魔法の鞄』の子機を作成できる。

  子機は本体と同じ能力を有し、収納品を共有する。

  あなたは子機に対して自由に利用制限を設定できる。


-

〔投射防衛〕


  敵から放たれた飛翔物が自身の周囲1メートル以内まで

  接近した場合、それを自動的に収納する。


-

〔魔力収集〕


  討伐した魔物から飛散する魔力の一部を回収して蓄積する。

  蓄積魔力は魔法や魔術の行使コストとして利用できる。


-

〔換金処分〕


  収納しているダンジョン産のアイテムを処分して

  そのアイテムの価値に応じた迷宮貨幣を獲得できる。


+----+




 30回ほどキャンセルと再挑戦を繰り返した結果、個人的にスミカが面白そうだなと興味を持った永続効果は、この4つ。


 〔子機〕は本体と同じ能力を有する『子機』を、10日毎に1個まで作成できるというもの。

 実質的に『魔法の鞄』の数を増やすことができ、しかも鞄に入れたアイテムは本体と子機のどちらからも取り出せるらしい。

 子機はリゼ達に渡しておけば便利に活用してくれるだろうし。あるいはコニーに渡しておいて、ダンジョンまで足を運ぶことなく集落と物資をやり取りする、なんていう使い方もできそうだ。


 〔投射防衛〕は自分に向かって飛んでくる物体を、自動的に収納する効果。

 この効果があれば、以前にゴブリンがやってきた投石攻撃を『収納』して防いだようなことを、魔法の鞄が自動で行ってくれるようになる。

 間違いなく便利な能力なんだけれど……効果範囲が『自身の周囲1メートル』とあまり広くないので、同行する仲間を守れないのがちょっとだけ不便かな?

 いや、自身の防御を気にせず、仲間への遠距離攻撃を『収納』することに集中できるという意味では、この効果も悪くないかもしれない。


 〔魔力収集〕は討伐した魔物から魔力を回収して蓄積し、魔法や魔術の行使コストとして利用できるようにするというもの。

 実質的に『経験値』と同じ役割を果たす自分の魔力を消費することなく、魔法や魔術が使えるっていうのは、なかなか強力なんじゃないだろうか。

 まあ、現時点のスミカは魔法や魔術を1つも修得していないから、この永続効果を選択しても何の意味も無いんだけれど。下位吸血鬼ナイトヴァルプの集落でコニーから聞いた話によると、ダンジョン内に棲息する魔物の中には、魔法や魔術を修得できるアイテムを落とす者も居るという。

 上手く魔法や魔術を習得できそうなら、これは良い選択肢になりそうだ。


 〔換金処分〕は収納しているアイテムを処分し、迷宮貨幣に変えるというもの。

 様々な投資の為に、なにかと迷宮貨幣を消費する機会が多いスミカからすると、その入手機会を増やせるというだけでも十分過ぎる恩恵だ。


(――うん。やっぱり〈投資家〉の私にとっては、『お金』が一番大事だよね)


 スマホにメモを取った効果の一覧を眺めながら、暫くの間悩んで。

 最終的にスミカは、そのように判断した。


 というわけで、もう何度か《個物投資》を繰り返して。

 そして永続効果の候補に〔換金処分〕が出たところで、それを選択した。


「わっ」


 キャンセルせずに《個物投資》を終えると。スミカが肩から掛けていた魔法の鞄が、黄金色の強い光を纏って輝いた。

 その光は、たっぷり5秒間ほど持続したあと、唐突に収まる。


 今が日中で良かった――と、スミカは安堵した。

 もし夜間だったなら、この強烈な光はかなり目立つことになっただろう。




+----+

魔法の鞄+1/装身具


  永続付与:〔劣化防止〕〔換金処分〕


 頭の中で収納しようと考えるだけで

 近くにある物品を中に収納することができる魔法の鞄。


 容積は無制限だが、重量は2000kgが上限。

 収納品の重さは鞄自体の重量に影響しない。

 鞄の中に手を入れると収納品の全容を把握できる。


 〔劣化防止〕の永続付与が施されており

 収納されている物品は時間経過の影響を受けない。


 〔換金処分〕の永続付与が施されており

 ダンジョン産の収納品を処分することで迷宮貨幣を獲得できる。


 あなたはこのアイテムの永続的な所有権を有する。

 望めばいつでも手元に呼び出すことができる。


+----+




 鞄の詳細を()てみると、収納上限が『1000kg』から倍の『2000kg』にまで拡張されていることが判る。

 もちろん、それとは別に〔換金処分〕の永続付与もちゃんと付加されていた。

 今後はダンジョン内で得たアイテムを、掃討者ギルドなどに売却して現金化する以外に、この〔換金処分〕を利用して迷宮貨幣に()えるという、もう1つの選択肢が生まれたことになる。


 また《個物投資》を行ったことで、アイテム名が『魔法の鞄+1』へと、地味に変化しているようだ。

 ということは――もう一度《個物投資》を行えば、更に『魔法の鞄+2』へと名称が変化するんだろうか?


(……試してみよう)


 とりあえずスミカは、両手に持っていたレジ袋を鞄の中へ収納する。

 上限が2倍に拡張されたため、もちろん収納には何の問題もなかった。


 その後に、魔法の鞄をじっと見つめながら、再び《個物投資》の実行を意識してみると――。

 今度は実行のために『金貨60枚』が必要なことが、頭の中に理解できた。


 どうやら、同じ物体に対して《個物投資》を複数回行うこと自体は可能みたいだけれど、その度に投資に要する金貨の量は跳ね上がっていくらしい。

 『金貨60枚』を消費するということは、永続効果のガチャを引き直すたびに、その10%に相当する『金貨6枚』を消費するということでもある。


 高すぎて払えない、と言う程ではないけれど――。

 とはいえ流石にこの金額の消費は、スミカにとっても軽い負担ではない。

 少なくとも、いま無理に実行する必要はなさそうだ。






 

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― 新着の感想 ―
知性があれば収拾も迎撃もひとりでにやってくれそうですね。 性格次第ではリスクもあるけれど……。
換金は自動収納系との組み合わせ効果が高いな。 ドロップ品や投射物をなんでも収納してたらすぐまた上限の2トンに達しちゃうけど、即座に換金できるなら迷宮貨幣がドロップするみたいなもんだ。
無駄にたくさんある石も売れる⁇
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