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5−5 風塵の魔女(4)

 クリスティンは試験も終わった事なので、義理の父であるカスバート・クロフォードと会っていた。

「やあ、試験の調子はどうだった?」

「概ね勉強していたところは書けました」

「勉強していないところがあったのかい?」

「ハワード家のお兄様の方が過去問題を集めていたので、漏れは殆どありませんでした」

「それは頼もしい。うちの長男など家庭教師が対策を取って指導しているのに大分怪しい様なんだ」

「誰しも上手く行く時と行かない時がありますので、ご指導はお手柔らかにお願い致します」

「うん、まあ義理の兄の事など気にせずに、君は君の勉強をしっかりしてくれれば良いから」

「心得ております」

とりあえず魔法以外の教科は多少あいまいな回答にしてある。教師の側で適当に2組相当の成績に仕立ててくれるだろう。この義理の父の期待には応えつつ、養家の家庭内に悪影響を与えない事は配慮している。

「そう言えば風塵の魔女と結局相まみえた様だが、どうだったね?」

「がみがみ屋と言う評判の様です」

「…魔法と関係ないよね?」

「お喋りと言うより何かと文句を付けないと気が済まない性分の様です」

「それは中々問題児の様だね」

「聞き流せばいい事なので、気にはしておりません」

「まあ、そうかもしれないが。魔法の実力はどうだったね?」

「判断力が悪いですね。魔法は魔女としてはどうでしょう?というレベルですね」

「手厳しいね」

「実力が無いなりに作戦があれば良かったのですが」

「自分の力に自信を持ち過ぎと?」

「まあ、こちらの前衛が人並外れていますから、一概に批判は出来ないかと思います」

「後衛は活躍していないのかい?」

「意見しか述べておりません」

「あまり気にする事は無いのだけれどね。好きにしてくれればいいよ」

「そうも参りません」

「いざとなったら多少は構わないから、それは覚えておいて欲しいね」

「ありがとうございます。覚えておきます」

「さて、期末のダンスパーティは誰かと踊るのかな?」

「今、仲の良い人達と少しは踊る予定です」

「そうか、では一度ドレスを合わせに来てくれ。サイズは入学時に合わせて作ってあるから」

「ありがとうございます」

「他に何か気になる事はあるかな?」

「あの方の事だから、このままもう一人の魔女も引き込む方向になると思われます。いかがしますか?」

「そうなるのだろうね。本件、王家の方ではどう考えているのか関係者と確認する必要がある様だね」

「そこを気にしております。問題なければ高貴な方にお付き合いせざるを得ないのは覚悟しております」

「そうだね…森の魔女の噂も相変わらず細々と平民街で流れている様だが、どうやら煙幕の様だよ」

「他の魔女が入り込んだと?」

「少し煙が出ている様だね」

「きな臭いと?狙いは不明ですか?」

「煙も薄いものなのでね。不甲斐ない父で申し訳ないね」

「お話を伺えるだけで感謝しております。お気になさらずに」

「あの方の動きもそれに対応したものかもしれないね。まあお父上がどう思われているか次第だが」

「今まで隠していた爪を見せる理由は、上次第で吉凶変わるでしょうね」

「一年目にしてこうも裏に翻弄させて済まないね」

「私自身の学院での縁もありますので、お気になさらずに」

「…もうちょっと私の前で肩の力を抜いてくれると嬉しいのだけれどね」

「こういう性分です。申し訳ありません」

「責めている訳ではないんだよ」

「ありがとうございます」


 学校の応接室では、ジャッキーの男装用服をクロちゃんに着せてみていた。

「む、すこし胸回りを縫いなおした方が良さそうだ。鍛えてるな、クロちゃん」

「すまんな、直しまでさせて」

クロちゃんは上手く危険な話題を避けた。胸回りの話題は危険過ぎる。この服の持ち主は一応女なのだ。

「一着くらい用意しとかないと、クリスティンが寂しい思いをするからね。私のお古で悪いけど」

「本当に感謝しかないな。こればかりは平民にはどうにもならん」

「まあ、気にしない様に。クリスティンの笑顔が見れれば友人として何よりだからね」

という言葉も聞き流す程、クリスティンはクロちゃんに見とれていた。

「うん、クロちゃん、とっても立派よ」

とっても可愛いと言いそうになったが堪えた。子供が礼服代わりにそれっぽい服を着てるのを見る親戚の気持ちだったのだ。

クロちゃんは顔を真っ赤にした。

「おい、クロちゃん、その服着てる間は締まった顔をする様に」

「ひと時くらい喜びに身を任せさせてくれ」


 離れてみていたカーラは隣のクライブに尋ねた。

「あの犬、ケダモノかと思ったら飼い犬なの?」

「クリスティン限定だけどね。まあ、生暖かく見守ってやってくれ」

「微妙に互いの気持ちがすれ違ってそうだけど?」

「それでもお互い幸せそうなんだから放っておいてやってくれ」

 何か書き忘れた気がしますが、思い出したら次話に加えます。


 明日は蝙蝠、一応金曜分まで何とかなりそうです。

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