益荒男草子~ますらおそうし~
春は大胸筋。
だんだんと白くなっていく山際を見て、おお、我が大胸筋も、やがてはあのように盛り上がり、大地のようにたくましく、紫がかった雲を散らすだけの魅力を備えるのだと決意を新たにする。
肩を大きく広げての腕立て伏せ、超重量のつぶてを用いての開閉運動、そして細身のおなご四人ほどの重さの棒の上下運動。
痙攣を起こすかのような刺激に満足感を覚えるのも、また、よい。
夏は腹直筋。
夜に眠ろうと横になったとき、刺激が走るほどの強度で鍛錬するのがいい。上体を起こすのも、頭を固定して下肢を引き上げるのも、腹直筋の上部と下部がそれぞれ鍛えられて、すこぶるよい。
また、直立の姿勢から、片手に重石を持ってそちらに崩れ、ゆっくり引き上げるのも、腹斜筋の固さを感じられて、よい。
秋は上腕二頭筋。
鉄塊を握り、肘を曲げて持ち上げ、また下げ、それを三度四度、一息ついて二度三度と繰り返すのも、よい。
ましてや、鉄塊を持ち上げ、肘が上になるように背中の方に下ろし、そこから頭上に上げ、また下げる鍛錬は、上腕三頭筋が鍛えられて、それもまた、よい。
首周りの僧帽筋に走る刺激も素晴らしい。
冬は大臀筋。
しりが重要なのはおなごのみに非ず。両肩に超重量の鉄棒を担ぎ、その状態で膝を曲げ、尻を落とし、また直立に戻る鍛錬は、克己の極みである。
前面の大腿四頭筋、背面の大腿二頭筋も、またさらにはふくらはぎを形成する下腿三頭筋も、全方位的に下肢を鍛えられるのは実に素晴らしい。
鍛錬を怠り、しりがたるみ、皮が皴をつくるのは、いかにもよくない。
作者の成井です。
思いついた勢いで書いてしまいました。
どこかの誰かの暇つぶしになりますように。
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では、また。