怪談「壁の向こう」
残酷な描写があります。
胸糞悪い話もあります。
何よりも・・・ゾッとします。
この話は友人Oから聞いた話で、友人Oの卒業した大学では有名な話です。
Oの行っていた大学。R大学では、先輩から新入生に決まって、こんな注意が出されるらしです。
先輩曰く「H館の三階、一番左の階段は三階までの階段はあるが、二階までしか使えない、だから三階に行くにはそこの階段は使うな。あと、三階の一番左端の三階への階段がある場所。そこには行くな。と言うか、普通では行けないようになってるし、もし行ったとしても階段は使えない。そして、もし行ったとしても、階段登った先のちょっと行ったさらに左端の壁、そこには絶対に行くな。何があっても責任とれないし、何よりも必ずって言っていいほど・・・でるから。」
大抵の新入生は「??どういうこと??出るって・・・幽霊?? それは面白そうだ!w」
ってなるわけです。で、実際行く奴も多数居る訳です が! 大部分の奴は一回行っただけでそこには二度と近づかなくなるそうです。
と言うのも。まず二階から三階に登るはずの階段を見に行くと・・・そこは壁。しかもお札が隠しもせず堂々と数枚貼られてる。
もうそれで「ああ。。ここは本物だな・・・やめとこう・・・」っとなります。
しかし、「いやいや待てよ?これは怖がらせているだけで、実際はなんでも無いのでは?」っと疑う生徒がまだ居ます。
そんな生徒は「では三階は?」っと興味本位で三階に行きます。そこには・・・不自然に廊下を分断する壁。しかもこちらにも堂々とお札数枚とラミネート加工され注意書きが書かれた紙が貼られている。その内容は・・・
「注意!この先決して行かぬこと。もし行く生徒を見つけた場合、厳しい処分とする。」
この時点で多数は確信します。「ここはもう触れてはいけない事だ・・・」っと。
でも、そんな多数の中から、ほんの数人は思います。「そこまでされるのは余程の事情があるな・・・・どんなものか行ってみたい」っと。
そんな数人は先輩の言葉に「普通では行けない」っと言う言葉の意味に、行く方法があると考え、すぐに思いつきます。
不自然に分断する壁・・・・その廊下のすぐ横の一つだけある窓。そこを開けてすぐ横を見ると・・・不自然な壁をまたいで雨どいがあり。そのすぐ横に一つの窓を見つける。
これだ!!残る数人はこの雨どいと窓を見つけ、行こうと思います が、 あまり人気のない館とはいえ、昼間に堂々と渡り、もし人に見られて通報されれば、厳しい処分とやらの対象となってしまう。
そんな考えが頭に過ぎり、数人も「そこまでしなくてもいいや」っと諦めます が、 酒の力だったり、罰ゲームだったり、本当に気になっての好奇心だったりと・・・行ってみようとする生徒が必ず後で出てきます。
そんな生徒がA君でした。
A君は神も仏も信じておらず、ましてや幽霊なんて全く信じてませんでした。そんなA君がサークルの飲み会で「俺は全然そんなもの信じてねぇ!なんならH館の壁の向こうに行ってきてやるよw」っと息巻き、本当に行ってきたとの事でした。
酔った勢いで深夜3時。当時はセキュリティーがとことん甘かったのと、文化祭の準備などが重なって、大学内の出入りは自由だったそうで、すんなりH館の不自然な壁の前まで行くことが出来ました。
窓を開け、雨どいに掴まりながら、手を伸ばしと壁の向こう側の窓へと近づきました。
「窓が開かなかったらどうするんだ?」っと一瞬思いましたが、その窓はスーっと拍子抜けなほど簡単に開きました。
「なんだ、簡単に開くじゃないか!ラクショーだなこりゃw」
と思い、開いた窓の枠に手をかけると、一気に体を中に滑り込ませました。
・・・・真っ暗な廊下。なんか異様に埃臭く、使われていないのがよく分かる様でした。
あらかじめ持ってきていた小さな懐中電灯を点け、まだ見ぬ先を照らすと、すぐ左手にくぼんだ空間と段差が見えました。三階の階段でした。
慎重に近づき、そのくぼみを照らすと、真っ暗な闇と下へと続く階段がありました。
「ここが使用できない三階の階段か・・・真っ暗でなんも無いな・・・」
それもそのはず、その先の二階は壁で塞がれているので、光も音も、何も無い闇の空間があるだけでした。
「やっぱな。こんなのただ使用出来ないだけで、対した意味なんてねーんだよ」
吐き捨てるように独り言を言い、階段を一別し、今度は絶対に行くなと言われているさらに左端の壁際に行こうとそちらに懐中電灯を照らした 瞬間。
フッと音もなく、手に持った懐中電灯が消えてしまいました。
「んだよ・・・電池でも切れたのか??」
軽く懐中電灯を降ってみると シャラシャラと音が・・・電球が完全に砕け、中に溜まって鳴っている音だとすぐに気がつきました。
思わず手から懐中電灯を落とす。ゴトンっと音が鳴り、懐中電灯はゴロゴロと転がり、真っ暗で見えない階段へと落ちていく。
ゴンッ・・・ゴンッ・・・ゴンッ・・・・ゴッ・・・・
真っ暗な廊下、その廊下よりさらに真っ暗な階段へと落ちていった懐中電灯を拾いに行くわけにもいかず、ただ呆然と立ちすくんでしまいました。
「・・・・懐中電灯の電球って砕けるものか?? そもそも砕ける音なんて 全然しなかった・・・・」
今まで何も感じていなかった体に、一気に冷水を浴びせられたかと思うほどの寒気が走り、血の気が一気に下がっていくのをA君は感じました。
「やばいやばいやばいやばい!!!か・帰ろう!もういい!帰ろう!!」
自分に言い聞かせ、元きた道を帰ろうとしますが、どうにも足が言う事を聞いてくれず、真っ暗な廊下を這うように帰ろうとした 次の瞬間。
・・・・ブツブツブツ・・・ブツブツブツ・・・・
背後から言いようもないほどの感覚が襲う。 明らかに誰かいる。
ソレは何かをブツブツと言っているのがハッキリと分かる。
わああああああああああああああああああああああ!!
今までどうにかつなぎ止めていた感情が一気に溢れ出し、思わず叫んで走り出そうと するが、体が全く動かない?!
・・だ・誰か!!・・・た・助けて!!!
声に出して叫ぼうとするが、声が出ない!
「こ・声が出ない! か・体が動かない!!」
どうにかこの場を離れようともがくが手足はふにゃふにゃと動くだけで、這うことも出来ない!
そうしていると背後から
ブツブツブツ・・・・jdjkkそwl、・・・・mdしえじゃん・・・・
ブツブツ言う声がだんだん・・だんだんっとこっちに近づいてくる・・・
うわああああああ!!たすけてええええ!!ごめんなさいいいい!!!もうしませんんんんん!!!!
助けを求めるも、謝り懺悔しようも、全く声が出ない。
その間もソレはブツブツ言いながらどんどん近づいてくる。
どうやらソレは這ってるようで、服の擦れる音と何か水分の様な音が ・・・hしえかlねmhxmkぢえl・・・ ベチャ・・ずずず・・・ベチャ・・・ずずず・・・
そして、等々A君の足元付近、その時A君はハッと気がつく。
これ・・・日本語じゃない・・・これ・・・多分・・・中国語だ・・・・
そう気がついたその時、
ぐぐぅぅっとA君は足を掴まれ、そのままソレがA君の体を手で這って登って来る
・・・smdじぇskさ9jmf・・・ベチャ・・・ずずず・・・ベチャ・・・ずずず・・・
うわあああああああ!!たすけてええ!!
どうにか抗おうとするが全く力が入らない。
・・・sじぇうえんdかあ・・・ベチャ・・・ずずず・・・ベチャ・・・ずずず・・・・
腰に手がかかり、背中に手がかかり・・・等々頭の上、ソレは完全にA君に覆いかぶさる形で真上
がああああああああああああああああああ!!
あらん限りの渾身の力で覆いかぶさるソレからなんとか逃れ、思いっきり弾き飛ばしソレを見てみると
そこには顔と思われる場所がグチャグチャに潰れ・砕け・弾け、体中をメッタ刺しにされた男と思われるモノがいました。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッ!!!
有り得ない、この世のものとは到底思えないモノを見てしまったA君はパニックになり、そのまま渾身の力で窓から外へ逃れ、三階から下へと飛び降りました。
幸い、外に植えてある杉の木に引っかかり、下に落ちた際に植木がクッションのなったのと、その日が深夜だったにもかかわらず、文化祭準備で人がいたことが幸いし、大事には至らず、両足骨折と軽い打撲程度で済んだのと事でした。
その後、A君は完治しましたが大学をやめてしまい、行方知れずとなったそうです。
A君が見たあれは何だったのか?気になると思います。 ここで終わるとただの良くある学校の怪談 それで終わってしまいます。
そう。この話に真しやかに囁かれる 真相 があります。 それは・・・
それが起きたのはR大学が出来て数年後、日本がバブル期に入る頃だったそうです。
R大学に中国人留学生のK君が入学しました。
K君はとても熱心な生徒で、勉強は学年でトップクラス、分け隔てなく人に接し、性格も素直で人懐っこく、日本語も英語も得意で、皆から好かれる、とてもいい青年でした。
また、彼の家は決して裕福とは言えず、それでも留学をさせてくれた両親に、せめてもの恩返しにと、大学に行かない時間はバイトに精を出し、コツコツとお金を貯めて自分の生活費を稼ぎ、それとは別に仕送りをしていました。
そんなK君はМと言う同じ学年の中国人留学生と一緒に寮生活をしていました。
そのМはK君とは真逆で、家がとても裕福で親の多額な仕送りを貰い、横柄であまり人に好かれる質ではなく、大学も休みがちで、朝から晩まで遊び歩く、そんな青年でした。
そんなМはお世辞にも成績が良いとは言えず、ギャンブルにハマってからは、ますます大学にも出てこなくなり、激怒した親からの仕送りも止められ、それでもギャンブルを止めないМは、等々借金で首が回らなくなってしまいました。
まさか親に言える訳もなく、このままじゃ大学も追い出され路頭に迷うと思ったМは最悪の選択をしました。それは・・・
K君を殺し、K君の貯めてるお金を奪い、借金を踏み倒し、中国へ逃げよう
そう考えました。
夜遅くに一番人気の少ないH館の左端、階段を登ってちょっと奥の三階の端に「大学をやめて中国に戻ろうと思うので相談に乗って欲しい」っとK君に伝え、呼び出しました。
何も知らないK君が階段を登って来る。そんな無防備なK君にMは三階の階段真上から大きな石をK君の頭めがけて
ドン!!
前のめりに倒れぐったりしたK君を三階まで引きずり上げると、持ってた包丁でメッタ刺し。少しでも身元判明を遅らせて自分が逃げる時間を稼ぎたかったのか、さっきの石を拾いに行くと、その石でK君の顔面を
ガン!ガン!ぐしゃ!ぐしゃ!・・・
指紋も取れないように指先を全部切り落とすと、そのままK君の部屋に行き、大事に貯めていたお金を掻き集め、Мは居なくなったそうです。
その後、無残な姿で発見されたK君。すぐに犯行はМだと分かったのですが、時すでに遅し、まんまと逃げおおせたМはその後行方知れずとなり、この事件は解決しないまま終わりを迎えたとの事でした。
K君はさぞ無念だったでしょう。その後、何度もその場所で奇っ怪な事が起き、どうしようにもできなくなった大学側が、その場所を壁で覆い、誰も入れないようにした・・・これが実しやかに囁かれている真相だそうです。
この話は大部分をいじっていますが・・・事実を含んでいます。