1年生が始まるそうです-1日目-
「入学おめでとうございます。これから6年間共に笑い、共に泣き、共にこの学校生活を過ごしていきましょう」
「じゃあみんなは教室に移動しましょう」
長い入学式がやっと終わり僕は晴れて小学1年生となった。
僕は1年2組らしい。1年は3クラス制みたいだ。
「お前らー。今日からこのクラスの担任の陰林 琉だ。6年間よろしくなー!!」
「先生は何歳なんですかー?」
「先生先生!!先生は結婚してるんですか?」
「先生!」
「先生先生!!」
クラスのほぼ全員が騒ぎ出した中校内放送が流れた。
「1年生担任の先生は至急職員室までお集まり下さい。」
「お。みんな悪いが先生はちょっと職員室に行ってくる。戻ってくるまでの間自己紹介をしとくことだ!いーな?」
「「はーい!!」」
みんなの返事の後担任が小走り気味で教室を後にし教室が静かになった。。。のもつかの間だった。
「ターッチ。お前は今日からバイ菌だ!」
一人の男子が女子の背中を黒板消しで叩き騒ぎ出すとクラスの男子はみんなそろって拍手で騒ぎ出した。
「「バーイ菌。バーイ菌。」」
その女の子は声を出さないが机に顔をつけ泣き出した。周りの女子は見て見ぬふりをかましている。
(ガキだなあ...てかターッチってまじで笑える。お前バカなのマジ草。ほんと笑えすぎて笑えねーよ)
僕は教室のドアを開け廊下に出る。くだらない声のおかげで誰も気づいてないだろう。
(さて...どうするか)
僕はトイレに向かいドアを開くとそれはやはりそこにあった。
(こいつの出番だな)
僕はそれを持ち教室に戻る。
(まだ騒いでるのか。どこにいるかなー)
僕は周りを見渡しながら進むと黒板消しを持った奴がいた。
(いたいた。)
ニヤリと僕は笑いながらそれを奴の顔に突きつけた。
「やめろー。なんだこれ。くっせー」
僕は奴を馬乗りにしそれを顔から離した。
「これ?ラバーカップって言うんだよ?知ってる?知らない?まあどーでもいーや」
僕はニヤニヤが止まらなかった。何度も何度もそれを突きつけては離した。周りは静かになりそいつの泣き声とやめての声しか聞こえなくなるほどに。
「これあげるね!!僕のじゃないけど」
僕はラバーカップを奴の右手に持たせ僕は立つと泣いてる女の子の方に向かった。
「一緒来てよ」
僕はその子の右手をとり教室から出る。
「学校。逃げちゃおー!!」
「え?あ?え?」
「ほら。走るよ!!」
僕達は学校を走って抜け出した。だが僕は気付かなかった。それを見ている一人の視線に。
「私の王子様みーつけたっ」
僕達は何も話さず歩いていた。
女の子はもう泣き止んでいたが、何を話していーのかわからないのだろう。僕の手を掴んだまま僕に付いてくる。
何分歩いただろうか。やっと目的の場所に着いた。
ピンポーン ピンポーン ピンピンピンポーン
インターホンの音が鳴り響く。
ピンピンピンピンピンピンピンピンポーン
ガチャガチャ ピー
ドアの鍵が開くと不気味な音が現れた。
「遅い。入れて」
僕は女の子を連れて家に上がると知っていたかのように地下に向かう階段を下り首飾りをドアにかざした。
ピー。ガチャ。
ドアを開くとそこには豪華な生活環が溢れる部屋に辿り着いた。
「まーそこら辺に座ってよ。」
女の子はびっくりした表情を浮かべその場に座ってしまった。
「んー。僕の名前はやぐも ひかり。ひかりでいーよ。君の名前は?」
「私の名前は...えりな。 やまだえりなだよ。」
「えりなか。良い名前だね。」
「その。ひかりくん。助けてくれてありがと......うわああああああん」
僕は泣いてるえりなをそっと抱きしめ黙って泣かせた。
何分経っただろうか。ようやく静かになった僕は泣きつかれて寝たえりなをそっとソファーに運び僕はその部屋を後にした。
「んでどうしたん?」
僕は色々と事情を話した。
「そうか。学校には私から電話しておこう。ひかりはどうする?」
「うーーん。色々面倒だなー。」
「親は大丈夫か?」
「はぁ......頑張るよ」
「そうか。無茶するなよ?まだ子供なんだからな」
「分かってる。それよりこれ用意出来る?」
「この紙に書いてあるやつ全部か?」
「うん」
「カメラとボイスレコーダーって二つもいるのか?」
「出来ればカメラは音声が出ないやつで12時間録画出来るやつがいいな」
「分かった。金はどうする?」
「僕のから引いといて。夜取りに来る」
「分かった」
それから30分後先生達が迎えにきた。先生達に家まで送り届けてもらったのだが一つ違和感を僕は感じた。
「今日は集団下校なので送らせて頂きました。それとこれは保護者全員に配っているので目を通しといて下さい」
「わざわざ先生が家に来てくださるなんてありがとうございます。うちのひかりの様子どうでした?」
「とても元気がある良い子ですよ。それはもうとても。では自分はまだ学校に戻らないといけないので失礼します」
「ありがとうございます。お気をつけて。ほらひかり!挨拶は?」
「さようなら」
先生が去りゆっくりとドアが閉まり音が出ないように鍵を閉めるお母さんの顔はずっと忘れないだろう。
深夜0時僕は気付かれないように家を抜け出した。