転生キタコレ?
目が覚めた。
救急車のサイレンを聞いてないので、怖さがある。しかも、白い天井が見えない。
とりあえず、自分の身体を確認。
おっけー。
五体満足、むすこも無事。TS転生地雷なんだよなあとか思いつつ、もうここがどこか察しがついている俺がいた。
見渡しても見渡しても、いくら目を凝らしても暗さしかないこの空間。
そしてそんな中でも何故かはっきり見えちゃう自分の体。
そうこれは……
転生!
キタコレ転生!
トラックにはねられてないけど!
熱はいつの間にか引いて元気いっぱい。
さて、女神さまいつくるかなー。銀髪希望だけど、女神だったらなんでもいい。でも、できれば幼女じゃなくてあだるてぃーな感じがいいなー、一回しか会えなくても。女神の出番がここ以降なくても。
『よぉぉぉこそ、godtubeへ!』
そう声が響いた。おっさんのこぶしの利いた声。
きょろきょろあたりを見渡すけど、何もない。声は上からしてきて、まさに天の声。
あれ?
え?
知ってる転生と違う。
だいぶ違う。
なんつった? ゴッド? チューブ?
神の管? なんだそれ。
『新しく、神々を喜ばせる光栄な役に選ばれたgodtuberは、この情けない痩せ男! 特技なし! 所持資産なし! もちろん特殊能力なし! 果てには魔力なし!』
待って、なんか俺、超けなされてる?
いや、すでに超超超超超超けなされた?
『ギフトは……ないですな。みなみなさま、毎度のことですが、転生決定までギフトやチート能力付与は受け付けております』
え? え?
なんのはなししてるの? ギフトとかチート能力とか、転生っぽいワードだから、やっぱり転生?
俺転生はできるの?
『では、ルーレットにいきましょう! この不運な男の行き先はーーーー!?』
後ろにスポットライトが当たった。あたふた振り返ると上から巨大な円が下りてくる。
巨大すぎて上が見えない。書かれている文字は、ファンタジー、恋愛ゲーム、中世ヨーロッパ(ガチ)、アイドルゲーム、デスゲームなどなど。
ルーレットって言うけど針がない? と思えば、身体が勝手に動いて、円に寄り添った。
待って、これ……俺自身が針ってこと?
「待って待って待って待って、ちょっとナニコレ、説明を求めまーす!」
『おおっと、イケボだ! この男、見かけによらず声はいいぞ!』
また! また、けなされた!
『ルーレットスタート!』
ぴ……ぴ…ぴ、ぴぴ、とルーレットが回りだす。
「ちょっと待て! なんて!? なにこれ!?」
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピpipipipipipipipipipipipipi
「うわぁぁぁぁあぁぁあ」
俺の悲鳴は、耳が壊れそうなほどの効果音に打ち消された。
pipipipipipipipipipipiピピピピぴぴぴ、ぴぴ、ぴ、ぴ…ぴ……ぴ……ぴ。
俺は身体をよじって、顔もよじって、何があたったのか見ようとした。
真横にはミステリーとあった。自分が何をさしているかは見えない。
え、平和……ではなさそうだけど、ファンタジーより文明度高そう! ファンタジーじゃないよな!?
『おっと! この男ついている! あたりをひいたぞ!』
「やったー! わーい! 恋愛ゲーム!? 超イケメン王子に転生できるのかな!? かな!?」
テンションあげあげ~。
『……』
「……?」
『…………』
「………………?」
『……なぁんということだ! 魔力がないのにファンタジー世界いき決定! さーて、この男の運命は!? 皆々様、お見逃しなく!』
「ハズレだな!? さては、ハズレだったんだな!?」
『さーて、ギフトは……』
「ください、ください! なんでもいいのでください! できれば、ハーレムつくっちゃえるようなやつがいいでぇす」
よくわからないが、とりあえず媚びよう!
ルーレットの針に据え置きされたままでは、伝統芸・土下座ができないので、代わりにヘッドバンキングだ!
『……』
いいぞ!? 天の声が引いている。あと一押しだ!?
「ていうか、魔力? 魔法使えるようにしてくださーい!!!」
『……おぉぉぉっと!? 神々に対して無礼千万な言動を繰り広げる哀れな男に、ぎりぎりでギフトが!』
「え? マジ? なになになになに、チート王様になれちゃう?」
『なれない』
「え、じゃぁハーレム勇者?」
『なれない』
……渋い声で真面目に突っ込むのやめてほしい。
『このお調子ものに与えられたギフトは……なぁんと、【死に返り】! 最大級のギフトがここで出るとは!』
「え!? 不死ってこと!? ありがとうございまーす!」
凄いチートだ。
……だよな?
『……』
なんか天の声黙ってるけど、大丈夫?
『では、気を取り直して! 初期ギフトはここで締め切りとなります! みなみなさま、引き続きgodtubeをご贔屓賜りますようお願い申しあげます。では、この男の末路を末永くお愉しみあれ!』
まつろ……末路……? だと……?
えっ。
俺は……どうなるの?
意識が暗闇に吸い込まれていく。
「ていうか、女神には会えないの!?」
俺の叫びも暗闇に吸い込まれて消えた。




