四話 最初の授業三
ついに、最初の授業が始まってしまった。
「ハーゲイ先生、これは避けられるかな?」
ラムは連続パンチをハーレンに打っていた。
「おお、すげぇ」
「やっぱラムってすげぇな」
と、これを見ていたクラスメートがラムのパンチに見とれている。しかも、ただパンチがキレイなだけでなく、ハーレンに当たっているのだ。
「ラムのパンチ、ハーレン先生に全部当たってね?」
「ああ、そうだね」
クラスのほとんどの生徒がラムの勝ちを確信していた…が、一人違った反応をした生徒がいた。
「いや、これは先生の勝ちだ」
一人ボソッという少年イガであった。
「オーイ、大丈夫?全然当たってないんだけどー」
「ハァ、テメエ、ハァ、ハア、なんであたんねぇんだよ?」
余裕そうなハーレンと必死にパンチを打ち続けて体力が限界に近くなっているラムであった。
「さばき続けてないで攻撃でもしろよ」
そう、ハーレンはラムの攻撃を超ギリギリのところでさばき続けていたのだ。そのせいで戦闘馴れをしていない生徒は当たっていると勘違いをしたのだ。
「お前の敗けだ、ラム。諦めな」
ついにハーレンがラムのパンチを手で受け止めた。
「なんで俺がずっとさばけるか分かるか?確かに俺が強すぎるのもあるが、最大の理由はなんだ?」
ハーレンが余裕そうに聞く。
「知らねぇよ、もったいぶらずに教えろよ」
ラムが不機嫌になりながらハーレンの話を聞く。
「それはな、読みやすいんだよ。打つタイミングも場所もいいが、相手の空いているところを簡単に打ってるんだよ。だから、俺が適当に開けたところをつられて打っている。だから読むことができる。わかったか、この筋肉だけのバカ」
この瞬間、教室で一番強いと思われていたラムが初めて負けたのだ。クラスのほとんどがハーレンの強さを認めざるを得なかった。
「ハッハッハッ、やっぱりお前らじゃ相手にならないな♪」
完璧なハーレンのドヤ顔にクラスのほとんどが腹がたった、その矢先。
「いけっ、『ハイドロ・ポンプ』」
マリンから極太の水柱がハーレンめがけて発射される。
「おいおいおいおい、アッアァ、来る、来る、ウギャアァァァァ」
マリンから発射された極太の水柱がハーレンに直撃して、消えていく。
「やった。勝ったぁ!」
ウァァァァっと歓声があがる。
その頃、ハーレンは…森の奥へ飛ばされていた。
「不意討ちとかダメ、絶対…」
虫の息であった。