春風
チュンチュン チュン♪
カーテンから差し込む暖かい光が、熟睡している俺の目を覚ます。昨日の疲れがまだ残っているのか、なかなかベットから起き上がることができない。
そんな俺は、無理やり体を起こしカーテンを開ける。窓から差し込む光がとても眩しい。
「悠汰兄ちゃーん、朝ごはんだよ~」
「ふぁ~い」
俺は、眠い目をこすりながら制服に着替え、階段を降りる。
台所で、歩美さん、涼風ちゃんと一緒にご飯を食べ、玄関へ向かい靴を履く。
「気をつけてね」
「悠汰兄ちゃん、いってらっしゃ~い!」
そして俺は一言。
「それじゃあ行ってきます!」
こう告げて俺は、家を出る。
桜が散る、田んぼ道。優しい風が、つきぬける。果てしなく続くこの道を、俺は歩き続ける。
歩き続けた俺は、目的地にたどり着く。俺が目指した目的地とは……、
『南・雅・中・学・校』
そう、今日から俺は『南雅中学校』へ、通うこととなる。
校門を通りぬけ、玄関で靴を履き替える。そして、俺は時計を見る。
「今何時だ?8:05分……って、もうそんな時間か!?急がなあかん!」
あせった俺は、急いで階段をかけあがり、1年教室へととびこむ!すでに朝の学活は始まっている。
「すいません!遅れましたぁ!」
息を切らしながら話す俺。
「そんなの見ればわかります。とりあえず席に座ってください。あっ、君の席は、右後ろから二番目ね」
「はい」
先生の指示に従い、右後ろから二番目の席に座る。
ひきだしに教科書を入れようとしていると、隣の席の子が、
「私、春風真桜。よろしくね♪」
ん?この声、どこかで聞いたことがあるような?……そう思い、作業していた手を止め、ふと、隣を見る。
そこに座っていたのは、嶽ノ湯までの道を教えてくれた女の子だった。