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淑美林学園の騒動  作者: 三浦安針
第一章
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第八話

「私の名前は、扇谷里美、三歳です。どうやって証明したら良いかわからないけど、おじさんならわかるんじゃないですか?」

「おじさんじゃない、お兄さんだ。それはともかく、嘘はついてないようだな」

 あれから、何度表向きの説明をしても信じてもらえず、ならば嘘感知の魔法を使ってくれと頼み了承された。

嘘感知も、わざと語らないことで事実を隠せるし、思い込みで事実と思っていることは、嘘と判定されない欠点がある。

それでもらちがあかない今を動かすには、大きな意味があるだろう。

まあもちろん、転生のことなど話せないことは多いけど。


「しかし、扇谷とは、あの扇谷かね?」

「どの扇谷かわかりませんが、姉の魔子が淑美林の幼稚園に入った扇谷です」

 どの程度通じるかわからないが、姉は魔力が高い設定だし、魔法関係者なら姉から話が特定できるかな、と話を向けてみる。

「幼稚園からあそこか。なら、あの扇谷で間違いないのか」

 姉の魔力の話題は、まだ広がってないのかな?

「しかし、扇谷の教育が徹底しているだろうとはいえ、三歳でこれか?ううん、信じがたい」

 だろうね。

前世の知識や人格がなければ、とても無理だろうと思う。

それに実際は、テレビ・本・ネットで得た知識だから、どんな教育か聞かれても、答えようがないし。


「で、これからはどうしたい?」

 うん?これから?

どういうことだろう。

「私は、芦屋晴明。扇谷家とはそれなりに縁もある。君が良ければ、私は君を養女に迎えたい」

 急展開過ぎてついていけないオレ。

確かに、今の家にいても虐待され続けて幸せになるのは難しいだろう。

渡りに船の話ではある。

だが、初めて会ったばかりのこの男をオレは信じていいのか?

「何、君みたいな三歳で魔法が使える神童が芦屋家にいるとなれば、陰陽師の家としては、大きな利益になるのだよ。それに、息子の能明にとっては良い刺激になる。扇谷家も我が家と縁戚関係になるのだから、悪い話ではないはずだ」

 相手に対して、許可を得ずに嘘感知を使ってみたが、特に嘘をついている様子はない。

もっとも彼が、信じ込んでいるだけかの判断はつかないけど。


 でも、美味しすぎる話には裏があるのがつきものだ。しかも相手は、憎き陰陽師。

一度OKを出したら、親は守ってくれない。

まあ、出さなくても守ってくれる気はしないけど、後戻りできないのは確かだ。


 どっちがマシかの究極の選択。

能力がばれなければいつでも抜け出せるが、今後も虐待が続くのが確定している扇谷。

話を聞く限り美味しすぎるが、能力がばれているために抜け出せない芦屋。


 悩む。


「あ、養女にならない場合でも、扇谷のご当主さんには、今日のことはなすからそのつもりで。」

 く、考えがばれてたか。

いつでも抜け出せるがなければ、扇谷のメリットが崩れる。


 溜め息を深くつき、オレは、

「これからお願いするぜ、おっさん」

被った猫を脱ぎ捨てて、答えたのだった。

 「おっさんじゃない、おに……ではなく、お父様と呼んでくれ」

 前向きに検討することを善処するよ。

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