第五話
二歳になった。
家の中の探検をしてみたところ、使用人がいたり、主人公が
幼稚園から全寮制の女子校に通うだけあって、すごい大豪邸だった。
金は、あるところにはあるんだな。
図書室やサーバー室が個人の家にあるって、どんだけだよと
言いたいけど、オレには便利だから使わせてもらう。
もっとも、ネットは履歴が残るだろうから、必要最低限の利用に
とどめるけどね。
検索サイトが前世で馴染みのものと使い方が変わらないとか、
検索ワード上位とか見られれば十分なわけだし。
前世にあったwikiみたいなサイトはあるみたいだから、簡単な
検索には使えそうだ。
試しに、うちのことも調べてみた。
あ、現世でのオレの名字は、扇谷という。
今は、鎌倉の高級住宅地になっている扇谷に屋敷があった
名門一族の分家から始まるそうだ。
起こりだけ見れば、河越夜戦で滅亡した扇谷上杉家を思い出す。
何でそんな家を思い出したかと言えば、オレの名前は里美。
前世の名字は、里見。
そう、江戸時代の小説『南総里見八犬伝』で扇谷家って
悪役だったんだよ。
扇谷定正のモデルが、江戸城を作った太田道灌を殺した
扇谷上杉定正な訳で、ほぼ確実に茜の奴が、オレのキャラ名を
作るときに考えた元ネタな訳だ。
茜だって里見家の分家だろうに、こういう嫌らしい真似をする
とはさあ。
前世に行って、茜とお・は・な・しをしたくなってきた。
で、政財界で一定の影響力を持つ名家で、いくつかの大会社の
社主を勤めているようだ。
形だけなのか、実質的に経営しているかまではわからないけど、
警官一人の人生を台無しにするぐらいは簡単なんだとよく
わかった。
これは、三歳の食事抜きイベントを自力で切り抜けないと
いけないなと、改めて思う。
正義感に溢れる人を不幸になんてしたくない。
本については、魔法についてをより詳しく調べた。
テレビで紹介されるような基礎魔法だけじゃ、切り札には
なり得ないし。
それに三歳ではお金を仮に得ても、買い物もままならない
だろうから、自然界から採集狩猟するしかないと思っている。
人里近くでは、猟友会と鉢合わせしかねないから奥地に行く
となると、サバイバル知識も必要になるだろう。
狩猟した動物を解体する手段も得ないといけないし。
学ばなければいけないことは無限にあるし、まだ食事が
得られている今に実地訓練する必要があった。
また、移動のためのテレポートをものにしないといけない。
可能なら、食べ物を保管するためにファンタジー小説にありがちな
四次○ポケット的な魔法もほしい。
正直時間が足りなく感じるけど、飢えないためには全力を尽くす
しかないな。
わかっている危機に必要な準備しないのは、ただの馬鹿だよ




