第三話
一歳になった。
ようやく自発的に運動も少し前から可能になって、腹筋運動や
柔軟運動をやって暇な時間を過ごすようになった。
ゆくゆくは、ラヂオ体操ぐらいはできるようにしたい。
第四はすぐには無理でも、第一ぐらいはね。
テレビはたまに見せてもらえるようになった。
単に、世話に来た使用人が戻るまで仕事をサボりがてら見るのを
便乗しているだけなんだけどね。
オレは、中身がこれだから泣いたりしないし、静かで手間も
かからないから、いても気にならないで済むらしい。
オレにとっては、この世界を知る良い機会だから、興味深く
拝見させてもらう。
……殆ど変わらないな。
杉花粉情報みたいに、魔法物質量の予報が天気予報のコーナーで
放送されるぐらいしか、特に変わっては見えない。
まあ、言語や文化が殆ど変わらないのは、新たに覚え直さなくて
良いから助かるんだけどね。
でも、過去視の魔法はあるみたいなのに、推理ドラマでは
使われていないとか、もう少し考えようぜと言いたくなりは
するよ。
手品に至っては、魔法をタネに使っているなら、驚くこと
無さそうなのに、観客席は賑やかだし。
……この世界における魔法の位置付けをしっかり学ばないと、
思わぬ失態を招きそうだ。
見ている感じだと、魔法は一般的で、瞬間移動や明かりの魔法は、
誰にでも使えるようだ。
ただ、一般人ではその威力は弱く、明かりなら懐中電灯並み、
瞬間移動も数百メートルが限界な模様。
だから、街灯は普通にあるし、電車や車の移動も普通に行われる
みたい。
いや、魔法が元々万能じゃないのは、神術で知っていたけど、
なんというか世知辛い。
まあ、オレは色々魔法が使えるようになりたいな。
幸い原作でも、魔力だけはあるようだし適切な修練を行えば、
ある程度のことはできると期待したい。
ただ、魔法だけに頼るつもりはない。
前世では、いくら斡旋を受けただけとはいえ、仲間に殺される
最期になった。
仲間を頼らずに済む強さを身に付けないといけない。
魔法の腕をあげると同時に、肉体的にも頭脳的にも優秀に
ならないと、この先生きのこることもおぼつかないかもしれない。
仲間は所詮他人だ。
いつ裏切るかわからない相手に命を預けるなんて愚の骨頂
としか言えない。
前世のオレは、人を疑うことをしなかったから死ぬ羽目になった。
現世では、甘えは許されないな。
……まずは、ベッドから自力で出ることから始めないとだけど。




