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淑美林学園の騒動  作者: 三浦安針
第五章
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第二話

side:里美


「魔子討伐依頼ですか?」

「そうなの。貴女の姉でもある魔子が学園の塔に籠って、待遇改善を求め出したのよ」

「捨ておけばいいんじゃないですか?食糧だってそんなたくさんもちこめてないでしょうし、いつかは寝るんですから、その時に入りこめばいいでしょう」

「それが出来ればいいんだけどね。彼女、魔力だけは強いじゃない。だから結界を張ってしまってそう簡単にはいれないのよ。

魔素が少なくなれば魔法は解けるけど、それまで塔が使えないのは問題だしねえ。それまでに暴走されて、塔を燃やされるなんてなったら、損害は計り知れないわ」


 普通、立て籠りの場合、立て籠り犯の生命の問題とかも議論される筈なのに、塔のことしか問題にされないのは、ちょっとかわいそうに思わなくもないよ。

まあ、恐らくは原作世界ではオレこと里美のイベントだったんだろうな。

立場が逆転した今、俺ではなく魔子がその役割なんだろうが、流石にかわいそうに思うかな。

一応は、対外的には名門扇谷家の跡取り娘ではあるんだから。

里美は少なくとも、跡取りじゃなかったんだし。


待遇改善と言っても、いろいろやらかした挙げ句に家の意向でこうなってるんだから、学校側も困るとは思うけどさ。

少なくともオレに手を出して自滅しなければ、今頃主人公だったんだろうし、自業自得だとは思う。


「先生達も説得しようとしてはいるみたいなんだけどね。ただ、力づくでをやると塔が無事とは思えないだけに、島の結界に悪影響も出かねないし難しいみたいなのよ。そこで、妹である里美さんに白羽の矢が立ったわけ。そうは言っているけど、恐らくは扇谷家内部の問題と対外的に発表するつもりなんだとは思うけどね」


 そういう裏もあるのか。

相変わらず、木南さんの分析能力はすごい。

オレの場合、能力的な底上げはやってきているけどそういう分析はあまり得意じゃないんだよな。


 幼稚園時代の空気の読めない木南さんは既にいない。

本当、頼りになるよ。


 まあ、今回は身内の不始末と言うことで先生達の非公式な依頼にこたえて対処することにする。

結界と言っても、人が入れない結界だから式神には入ることが出来るしさ。

東京屋敷に清彦を取りに行く。

木南(名前は、清香)さんに名前を借りたよと言ったら、ちょっと神妙な顔をされた。

愚かだった頃の自分を思い出すってさ。


「今は、私よりも賢いこともあるじゃないですか。特に情報分析能力は信頼しています。木南さんには助けてもらっていることも多いです。私は、木南さんに出会えたことを感謝していますよ」

「そう言ってもらえると嬉しいわ。あの時は、本当に迷惑かけちゃったものね。こうして話せるだけでも嬉しいの」


 確かに、あの事件の時はここまで木南さんが成長するとは思ってもみなかった。

あの時に小学校に進学拒否られた挫折で成長したとのことだけど、幼稚園の時の出会いが無ければこの学校に来た時にオレは孤立していただろうし、今を思うとどう考えてもプラスだ。

人の出会いって、奇縁だよな。


 魔子討伐の為に、清彦を塔に突入させる。

魔法の結界を完全に過信したのか、熟睡している魔子に遭遇した。

それにしても、暫く見ないうちに魔子は太ったなあ。

顔まで脂肪が溜まって、元は美少女だったのが顔の判別も難しくなっている。

原作の里美がそういう設定だといとこにして世界設定を作った茜が言っていたけど、そこまで逆転することはないだろうに。

これ、待遇改善自体は無理でもダイエットさせる運動の為の外出程度は認めた方が良いんじゃないのかな?

実質的に金・家格目当ての婿養子要員と言ったって、今の魔子じゃ誰も嫁に欲しがらなさそうだ。


 折角寝ているのだからと、目隠しやロープで縛って身動きを出来なくする。

猿轡をかました所で目が覚めたようだけど、今さら遅い。

呪文を唱えられなければ無詠唱でしか魔法を使えないけど、魔子が無詠唱で魔法を使えると言う情報もないしさ。

たとえ使えた所で、そっちに専念せざるを得ないだろうから結界の維持どころじゃないだろう。


 神術で、結界に穴をあけて入れるようにする。

入り口を封鎖している本棚などの家具をどけて、塔に入れるようにして先生達に塔に入ってもらう。

拘束は済ませているので、実質的に依頼は完了していると言える筈だ。


ドッガーン


……ちぇ、詰めが甘かったようだ。

先生が地雷魔法の罠に引っ掛かったようだ。

清彦は人じゃないから反応しなかったけど、先生は引っかかったようだ。

幸い一命は取り留めたので、神術で治癒させることはできたけど、これ思いっきり殺意あったよな。

殺人未遂で通報と言うことはないみたいだけど、これ魔子は自分で自分の首を締めすぎだぞ。


 これ以上待遇悪くならないと思ったのかもしれないけど、今だってかなりの高待遇なんだ。

オレの前世の時と比べたら、雲泥の差だって言うのに。


 今回の騒動の結果、魔子は独房のような部屋で監視されることになった。

部屋から出ることは監視なしでは禁止。

学校側は退学処分にしたかったようだが、扇谷家と敵対することを恐れて一歩手前の処分にしたとのこと。

魔封じの結界で部屋を封鎖したけど、魔封じの結界自体が魔素を消費するので、そのわずかな魔素を利用して魔子が魔法を使うことまでは止められないため、騒動の種は残ったようだ。


 でも、魔子は社会的には殆ど死人扱い。

扇谷家側も今の風貌を見て、見放しの度合いを深めたようでオレに戻って家を継いでくれないかまでと打診してきた。

能明と結婚したいオレは断固拒否。

晴明の方も、養子縁組解消するなら考えがあると脅して扇谷家を沈黙させた。


 扇谷家は、宅間等の遠縁も後継者の視野に入れるとのことで、学校側にも退学処分にするなら構わないとまで通告したとか。

原作での里美ですらここまでひどい扱いは受けてなかっただろうに。

自業自得だと明白じゃなければ、同情してしまう所だぜ。



side:魔子


 何よ、待遇改善どころかますます悪くなっているじゃない。

次何か起こしたら勘当なんて言われるし、どうしてよ。

あ、そうか。

私の素晴らしすぎる才能と頭脳に扇谷は嫉妬しているのね。

次こそは、上手くやってみせるわよ。

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