第十一話
side:魔子
授業に参加する以外は、無期限謹慎処分ってどういうことよ。
執事も撤収されてお手伝いの家人も緊急連絡要員の一人を除いて退去、長期休みも帰ってくるなって。
私自身、実家の親と言うのは、私の親には思えてなかったから実家に帰れないのは問題ないわ。
でも、まるでこれじゃ、実家が私を見捨てたみたいじゃないの。
なんで私ばっかり。
こうなったら、ハンガーストライキならぬ、食べすぎストライキをやってやるわ。
太って他人に見せられなくなる容貌になったら、実家も考え直すはず。
どうせこの身体は、間借りしているだけのもの。
酷いことになっても、実家の責任で私は悪くないわ。
side:里美
芦屋家に対して、扇谷家が正式な謝罪をしたとのことだ。
入れ替わり等が無いことは、過去視の魔法で確認済みであり、第一親子関係が無いのに引き取るような粗相などしないと断言していた。
そりゃそうだろうね。
ただでさえ、オレのこと嫌っていたのに、形だけでも育てようとしたのは、実子だからだったんだろうし。
これが少しでも怪しい所があるなら、喜んで育児放棄したことだろう。
その意味では、初めから疑いが無かったのかもしれないな。
しかし、過去視の魔法ってすごいな。
防犯カメラ無くてもOKってことじゃん。
まあ、過去視の魔法を使えない人向けなのかもしれない。
でも、過去視のできる人はどんどん警察官や裁判官になってもらって、社会を平和にしてほしいななんて勝手なことは思ったな。
あれ?でも、推理小説とか普通に出版されている所を見ると、過去視魔法もそこまで万能じゃないのかな?
そんなこともあり、魔子につけていた家人を一人を除いて撤収させて、授業以外外出禁止の謹慎処分を扇谷家として魔子に課すとのこと。
オレについても、元は魔子のわがままで入学させたので、好きなだけ淑美林に通って構わず学費は負担するとのこと。
学費については、淑美林側も特待生扱いで構わないからいてほしいと言ってきたけどね。
しかし、わがままで入学させておいて、思惑どおりに上手く動かなかったからと排除しようとしたのかよ。
前世で原作ライターである従姉妹の茜に聞いていた魔子とはだいぶ違うなあ。
現実だから当然いろいろ異なるのかもしれないし、オレが大きく変わっている以上、そういう影響が出たのかもしれない。
元の設定を詳しくは知らないけど、魔子と敵対している木南さんと里美が幼稚園で知り合いだったなんて、無かっただろうしね。
その意味じゃ、オレ(里美)は、原作ゲームの縛りを脱することに成功したのかな?
芦屋家に養女になること自体、設定と大きく変わっているんだから、何を今さらレベルの話かもしれないけど。
排除するにしても、もっと上手いやりようがあったのに、そう言った方法を取らず直接的なことをやって自滅した魔子に同情の余地はない。
オレが入学した事実そのものを消すぐらいは、扇谷の力を使えば出来ただろうしね。
実際そうなっても、芦屋家としては文句は言わなかったはず。
扇谷が二度と、オレを勝手に駒扱いしないと言質を出す条件でもあれば。
今回の結果、オレが能明婚約者となった場合は、実家として全面的にバックアップすると宣言してきてはいるけどね。
扇谷としても、陰陽術の名家当主妻の実家となれば、影響力的に美味しいだろうし、価値の落ちた魔子の夫を探すのにも有利になるだろう。
魔子については、完全に愛想を尽かしたらしく、婿養子要員扱いの言動をしていた。
いや、さすがに他家の前で堂々とそれ言うのは、引くんだけど。
それだけ、今回の魔子の行動が致命傷だと扇谷家側が認識したのかもしれないけどさ。
しかしそうなっちゃうと、ゲームの展開はどうなるんだろう?
気にしても始まらないことだから、一日一日を充実して過ごすしかないかな?
ゲームが元かもしれないけど、今は、オレの人生なんだし、幸せになれるよう頑張ろう。
第四章をここで区切ります。
第五章は、ゲームの舞台となる高校編です。
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