表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
淑美林学園の騒動  作者: 三浦安針
第四章
33/40

第十話

side:里美


「芦屋さん、頑張って」

 急に面識のない高校生の人に声をかけられてビックリする。

オレは、悪目立ちしているせいで、知名度が高まってるから、おかしな話じゃないんだろうけど。

「ご実家とのトラブルはお聞きしているけど、私達はあなた貴女を応援するわ」


 訳がわからないけど、応援してくれることには謝意を伝える。

オレが扇谷とトラブルなんて、生まれてからずっとだけどね。


 他の上級生にも、応援していると言われ、これは何か新しく起きているなと学内の社交に詳しい木南さんに状況を聞くことにする。


「魔子の執事が、貴女の出生についてやらかしたのよ」

「私の出生ですか?ああ、もしかして、未熟児だったと言うのは、間違いなく事実だったみたいですよ」


 実際、生まれたての頃の記憶では保育器の中に入っていたし。

通常の自然分娩とは異なる生まれであることをあげつらうのであれば、事実である以上反論の余地はない。

だが、多少違うからと言って、どうと言うこともないと思うんだけど。

シェークスピアの話みたいに、母親の腹から生まれなかった者のみが命を奪うことができる、なんて予言がある訳じゃあるまいし。


「そこまでは、事実なのですか。魔子の執事は、保育器で子供の取り違えを起こし、どこの子供とも不明な子供を引き取ってしまったことを金で黙っていてほしいとの旨のメールを脅迫者に送ろうとして、謝って、一斉メールを出したふりをしたんですよ」

「出したふり?」


 扇谷の醜聞を防ぐ為に、執事が動くのはわからなくもないけど、出したふりというのがワケわからない。

オレは、取り違えられてないとは思うけど、魔子の執事程度の立場じゃ真偽はわからないだろうし、脅迫に応じて金払ってもおかしくないと思う。

一斉メールで自分からばらすのは、迂闊にも程があると思うけど。


「送信されたメールに返信している形式をとっているのですが……脅迫者が送信したとされるアドレスのサーバーが実在しないのですよ」

「実在しない?」

「ええ、一昨日をもって、物理的に破壊されました。昨日出されたメールに返事をするなんて、できないんです」


 ……それはまたタイミングが悪い。

ただまあ、ハッカーとかなら、存在しないサーバーから出したふりぐらいはできそうだけど。


「ええ、もちろんそう弁明していましたよ。ただ今回の場合、それも無理があるんです。メールの履歴を追う魔法を使える方がいましたの」


 ……さすがは魔法、科学文明のセキュリティなんて、魔法の前には無力なんだな。

よく、科学がオレの前世の世界と同じように発達したもんだ。


「元々不自然だったみたいですけどね。執事同士の連絡先交換程度ならわからなくもないのですけど、淑美林にいる家人全てに一斉メールなんて、

する理由がないのに一斉メールが飛んだわけですから。

サーバーのことに思い至った人が出たのも当然よ。

自分から言いふらす為に、偽装工作をやったと見なされてるわ」


 ううん、そんなことしても、メリットないと思うんだが、違うのかな?

扇谷にとっては、オレのみならず、他の子供の正当性も揺るがしかねないし、オレが今さら扇谷の子供じゃなくなろうと、 芦屋との縁が切れるだけでむしろマイナス。

オレの立場は悪くなるかもしれないけど、扇谷にもデメリットだけでメリットない筈だ。


「どうも、魔子が作戦を考えて命じたことみたいよ。貴女に逆恨みして、陥れようとしたみたい」


 なんでまた。

確かに今のオレが不幸だとは、欠片も思わないけど、元々扇谷では、いわゆる虐待の対象にすぎなかった筈だ。

三歳相手に、食事を与えないとか、消極的な殺意があると言われても文句言えないはず。


 それに4歳当時の魔子が関与していたとは思えないが、待遇の差は歴然としていたはず。

それを今さら嫌がらせすると言うのもわけがわからない。

それこそ、扇谷に頼んで、オレを淑美林から追い出すこと位わけもないはずだ。

扇谷に強制されて、オレはこの学校に通っているんだから、扇谷の内部を説得さえすれば、オレがこの学校に通う理由がなくなるんだし。

そもそも、なんで強制されているのかも、よくわからないんだよなあ。


 木南さん達との交流がなくなるのはちょっと寂しいから、当面はこの学校に通いたいとも、最近は思い始めてもいるけどね。


「教えてくれてありがとう。私の方からアクションかけられることはなさそうだから、普通に生活するしかなさそうですね」

「何か、相談したいことがあったらいつでも言ってね。私は貴女に色々教えてもらった恩もあるし、何より困っている人は放っておけないしね」


 木南さんの心強い応援はありがたい。

今度、清彦を連れて木南さんにも会ってもらおうかな。

清彦は、木南さんと出会ったからこそ、オレの使い魔になったんだし。

最近じゃ、盆踊り、ヴァイキングメタル以外に、テクノミュージックに合わせて踊れるようになったしさ。





side:魔子


 たくらみが失敗とはどういうことよ。

執事がここまで無能だとは思わなかったわ。

執事は執事で、私に命じられたことを暴露し始めるし。


 これじゃ、私の立場が無いじゃない。

実家からまで、謹慎するように言われる始末。

この恨み、いかに果たしてやろうかしら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ