第九話
side:里美
あれから色々質問攻めにあって偉い目にあった。
もっとも、オレの家が陰陽術の大家であることは、教師陣がみんな知っていることではあるし、学園側の追及は大したことが無かった。
面倒だったのは、海上保安庁と自衛隊の聴取。
海上保安庁や自衛隊には、顧問として芦屋家傍系の人もいるため、陰陽術だけでごまかされてはくれなかった。
ただまあ、神術の存在や概要は晴明には伝えてあるから、晴明に直接聞いてくれで押し通したけどね。
芦屋家傍系と言えども、本家当主の威光には逆らえないようで何とかひいてくれた。
もっとも、この騒動で色々な所から注目されてしまったのは避けられない。
芦屋家と言うバックがあるとはいえ、ちょっとなあ。
「里美、大丈夫だって。私達が里美は守り切るよ」
能明に言ってもらえると嬉しい。
勿論、力無き発言じゃないから実利的にもあるんだろうけど、能明に言ってもらえるのが嬉しいんだとオレは気づいていた。
でもまあいっそのこと、淑美林の寮に入ってほとぼりを冷ますのもありなのかな?とも思うも、能明に会えなくなるのが増えるのが嫌だなと撤回する。
それだけ、オレにとっては大きな存在になっていたし、最近では妻になれない未来が来てほしくないなとさえ思っていた。
まだ候補でしかないとはいえ、婚約者に近い存在。
前世で彼氏がいなかったのは、今世で能明に出会う為だったのかなと自惚れてもいる。
転生できたこと自体は、神に感謝しないといけないな。
平穏には程遠いながらも、忙しい日常の中に徐々に埋没して行った巨大クラゲ発生事件。
それだけで終わってくれるはずもなかった。
side:魔子
里美が一方的に誉めたたえられて、私は謹慎処分。
命が助かったのは嬉しいけれど、謹慎させられるほどのことを私はやったかしら?
みんなを救う為に私は動いただけよ?
確かに失敗したかもしれない。
でもそんなの、結果論じゃない。
里美だって、勝手に動いているのに成功したからお咎めなし。
不公平にすぎるわ。
失敗したら謹慎処分、成功したら褒め称えられる。
結果論なだけで、やろうとしたことは一緒じゃないの。
里美が学校にいられないようにしてやる為の準備は、着々と進んでいるわ。
今は、わが世の春を謳歌していなさい。
まずは、里美の信用を失わせるべく、執事に悪いうわさを流させるわ。
side:里美
今は初夏なのに、やたらと寒気を感じるな。
なんだろう。
まあ、気にしても仕方ないか。
まずは、夏休み前の期末試験に向けて頑張らないと。




