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淑美林学園の騒動  作者: 三浦安針
第四章
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第八話

side 里美


「大変です。扇谷のお嬢様が」


 どうしようかと悩んでいた所で、魔子が特攻したらしい。

魔子が倒してくれるなら、御の字かなと思っていたけど、現実はそんなに甘くなかった。

魔子が使った魔法はそれなりのダメージを与える魔法ではあったが、浄化を伴う魔法ではないため、分裂しただけに終わったのだ。


 あっという間に分裂したクラゲに飲み込まれる魔子。

この緊急事態で悩んでいても仕方ないということで、一応目撃者を減らすためと、外に逃げ出すことが無いように結界を張る。

陰陽術の反閇を行いながら、五芒星を組み上げていく。


 いやわかっているよ。

スクール水着の女子中学生がこんなことをやるのは、とってもシュールなことだって。

でも、そんなこと言っている余裕は、現状あり得なかった。

本当は、魔方陣を組むことで魔力を強化したかったけど、今はそれだけの時間すらが無い。

足りない分は、神術の浄化で補うしかないか。


 すべてを浄化の光りで覆い、魑魅魍魎を一掃することには成功した。

だが、これは追及の始まりにすぎない。

陰陽術と言う風にごまかすつもりとはいえ、その陰陽術だって世間では一般的じゃないんだ。

芦屋家の切り札である陰陽術を使ってまでの危機だったとは、断言できる。

たとえ魔子を見捨てた所で、人を取り込み強大化した魑魅魍魎を退治するとなれば、とんでもないエネルギーの魔力や通常兵器によらなければいけなくなっただろう。

陰陽術の使用そのものでは、文句は言われないと期待するし、むしろ感謝されるかもしれない。


 ただ、この強大な魔法を使ったことで、オレの淑美林での立ち位置が変化することは避けられない。

実力試験等で、それなりのことができることは示している。

だが、脅威になるほどまでとは認識されてなかったはずだ。

今回のことで、自ら脅威になりえると証明してしまった。

頭が痛いことではあるけど、今は倒した満足感に浸ろうかな。




side 魔子


 気づいてみると保健室のベッドの上。

周りをしっかり見ようと起きあがろうとしたらば止められたわ。

「まだ無理しちゃダメ。貴女は、魔物に襲われたばかりなのよ?」


 言われて、今の状態に気づく。

魔物達に襲われて、水着を脱がされ、身を守るものがすべてなくなり死を意識したはず。

なのに、今こうしてベッドに寝かされて病人服も着ている。

特に痛い所もないし、無傷と言っても良さそうね。


「私、あれからどうしたの?」


 わけがわからない。

だって絶体絶命の危機になっていたのに、次に気づいたら助け出されていたなんて。

あのタイミングでは、助かるにしても御それなりのダメージを受けてなければいけなかったはず。


「貴女は、妹さんの魔法に助けられたんです」


 妹?

ああ、里美のことね。

実力があるとは思っていたけど、私が倒すのに失敗した相手を私にダメージを与えずに倒すなんて、どれだけすごい魔法を使えるのよ。

あまりにも魔力が高すぎて、扱いきれないから養子に出されたということなのかしら。


「貴女の家が、養女に出した時も色々言われたのだけど、これだけの実力があるなら仕方ないわね。

魔法の専門家である陰陽師の名家に養女に出すのもうなずけるというものよ」


 完全に、話題の主導権は妹の里美が握ることになったようね。

私はむしろ邪魔をした扱いになるのは間違いないわ。

これじゃ本末転倒じゃない。

命が助かったのは嬉しいけど、今回のことは、私の立場を決定的に悪くしかねない。

それなのに、里美は一気に主役に躍り出る。

許せないわ。


「あら、どうしたのかしら?貴女の家を悪く言ったように聞こえたならごめんなさい。

貴女も魔力はあるけど、常識の範囲内だった。

でも妹さんは、普通に対処するのは無理だった、それだけの話じゃない?

芦屋家の跡取りの婚約者候補になっているとの話だし、妹さんは幸せになれていると思うわよ」


 名家の跡取りと婚約者候補にもなっているなんて許せないわ。

それでいて私を追い落とすためにこの学校に来るなんて。


 絶対に成敗してやるわよ。

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