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淑美林学園の騒動  作者: 三浦安針
第四章
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第七話

side:魔子


 海開きね。

海で泳ぐと日焼けしてしまって、肌のお手入れが大変になると思うのに、なぜかこの学校は海での授業が好きよね。

お嬢様学校だと言うなら、屋内プール完備でそこで泳げるようにしても良いと思うのに。

太平洋の綺麗な海で泳ぎ、心身を鍛えるなんてアピールでもしているのかしら?


 でも、最近成績トップでちやほやされていたのが、どこにでもいる優等生扱いになってしまっている私にとって、

運動能力の高さを見せつけることは、流れを私の元に引き戻す良い機会でもあるわ。

里美も魔力や頭脳はそれなりのようだけど、運動まではできないでしょ。

ここで優雅に引き締めないと、本格的にまずいことになりそう。


「新しい水着の準備はできているわね?」

「はい、お嬢様。ですが、学校指定の水着でも良かったのではないですか? 平地に波を立てることもありますまい」


 わかってないわね。

私の美しさを見せつけることも必要でしょうに。

小学校の頃は、水着姿の可憐さで高校生のお姉さま達も、私を見に来たのよ。

活かさない手はないわ。






side:里美


 待ちに待った海開きだ。

肌の手入れとかが大変だと言うのはあるんだろうけど、中学生でそこまで気にしてもねえ。

……決して、前世がずぼらだったなんてことはないからな。

仕事によっては、日焼けを余儀なくされたこともありはしたけど。


 露天風呂で全裸の女性しか襲わない龍モドキ退治とか酷かったよな。

囮役の一人になったけど、半日以上温泉でのぼせながら待機はきつかった。

交代で入浴はしたけど、温泉でも入りすぎは身体に悪いって。

普通は水着で隠れる所も真っ黒になっちゃって、彼氏いたら色々聞かれたんだろうな。

前世の時は、彼氏はいなかったけど。

今は、能明が彼氏みたいなもんだよね?


 コホン。

オレの水着は、淑美林指定の水着。

別に魔習院の使っても良かったけど、折角学校指定のがあるなら周りに合わせて着るのが一番だろう。

別に動きにくい水着と言うわけでもないしね。


 しっかり準備運動をして、海に入るとするか。

魔法の流れを見ると、結構しっかりいろいろな結界が張られている。

溺れても大丈夫なように、溺れたらわかるように警報が網の目のように張り巡らされているし、結界内のみだが水の中で呼吸できるようにすぐにできるように準備もされている。

これだけのことをやる為には、消費魔力や魔法物質もすごいことになると思われる。

だからか、魔法物質が少ない予報が出た日は水泳の授業は中止になるんだそうだ。

テレビの魔法物質予報って、しっかり活用されているんだな。

流石は、金持ちの娘達御用達の学校だと感心してしまう。


 そんな学校の学費を払ってまで、オレを淑美林に通わせる扇谷家の思惑がわからない。

現状でも、魔子の駒として役には立たないことをアピールできている筈だ。

そもそも、魔子とは殆ど交流ないしね。

魔子自体、オレを追い出すために色々画策しているっぽいけど、それ位なら学費支払い停止して追い出しちゃえばいいのにとか思う。

まあ、オレ自身が扇谷の血をひいているのは間違いないから、退学ともなると外聞に触るのかな?

ゲームでは、オレは高校から淑美林に通うストーリーだったようだから、中学の今はゲームとは関係ないはずだし。


 奴が現れたのは、そんな割とどうでもいい考えに浸っている時だった。



「大変です、今すぐ陸に上がって逃げてください!」


 大声に何事と声のしてきた方を見る。

30階建てのマンションぐらいの高さがありそうな大型のクラゲが現れていた。

いくらここが絶海の孤島とはいえ、こんな大型のクラゲが近づくまで、自衛隊や海上保安庁が気づかないのは不自然だ。

オレの前世ですら、それなりの探知能力は備えていると聞いていたし。


 近海で発生したと言うのでもない限りは、人為的に召喚された可能性が高い。

そんなものが発生しやすい場所に金持ち用の学校を建てるとも思えないから、人為的なテロ行為である可能性が高いだろう。

オレの今の実力なら、倒すこと自体は可能だろう。


 だが、ここで倒そうものなら多くの人に目撃されすぎる。

芦屋家の後継ぎの嫁候補としては、実力を示すことは悪くないのかもしれないけど、いくらなんでも目立ち過ぎとなるんじゃないかとも思う。

そうのんびり言ってられないのも確かで……





side:魔子

「応戦しようとするなんてやめなさい。早く逃げなさい!」

「大丈夫よ。私が倒してあげる」


 ここで活躍すれば、私の権威は復活するし、木南に対して圧倒的優位に立てるはずよ。

幸いこの身体は魔力が優れているようだし、ちょっと実力を発揮すれば簡単に倒せるはず。

さあ、私の実力を見せてあげるわ。


「魔力の子よ、光の子よ、闇の子よ、炎の子よ、氷の子よ。我の願いにこたえ、あのクラゲに滅びを与えよ」


 詠唱は完ぺきなはず。

さまざまな属性を整えた魔法の筋がクラゲに向かって放たれたわ。

これで、滅びるはずよ。

私の実力は、ざっとこんなものよ。


 あれ?



 クラゲは粉々になったように見えた。

でも実際には違ったようよ。

大量のクラゲに分かれて、小さく大量になったクラゲが向かってくる。


「やめなさい。私の命令が聞けないの!」

数が多すぎてまともに攻撃することもできなくなっている。

大ダメージを与える魔法は使えてもこんな数に対処する方法なんて習ってないから知らない。

どうすればいいのよ。


 既に大量のクラゲにより水着は剥ぎ取られて全裸状態になっている。

でもそんなことどうでもいい状態。

まだ命が失われていないけど、時間の問題かしら?


 絶望し始めた時に、光が海を照らしすべてを包んだわ。

私の意識があったのは、そこまでだったわ。

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