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淑美林学園の騒動  作者: 三浦安針
第四章
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第三話

 妹が入学したという割に、私に接触が無いのはどういうことかしら?

お礼も言いに来れないような無能だということなのかしら。


「私の妹が入学して来ているはずなのに、私に会いに来ないとはどういうことなの?

寮の部屋に尋ねるから案内しなさい」


 執事に命じて案内させる。

でも、執事は動き出さない。


「まさか、入学させられなかったというんじゃないわよね?」


 あり得ないとは思うけど、そんな失態するとはこの執事を切るように進言すべきかしら。

もしそうなら、とんだ無能だわ。


「いえ、妹の里美様は、間違いなく入学されておられます。

 ただ、家から通学されておられるのため、寮には入っていないのです」


 どういうこと?

ここは絶海の孤島。

通学なんて、物理的に不可能なはずだけど。


「陰陽術の大家、芦屋家だけあって、京都の芦屋屋敷から直接この学園敷地までの転移の魔方陣を用意されて通学されているとのことです」

「芦屋家?芦屋天気の芦屋家なの?」

「はい。その芦屋家です。

里美様は、現在ご当主の一人息子能明殿の婚約者候補となっておられているため、芦屋家の中で多忙な日々を過ごされておられますとか。

寮に入ってのんびりするような暇はないようです」


 ……それって、私が目をかけなくても、問題なく生きていけたということ?

折角、入学させたのに駒にならないじゃない。

無駄な労力をつぎ込んじゃったわね。

駒は他から調達しないとダメみたいね。

事前に分かっていれば、他に対策とりようあったのに、この執事わざとやったんじゃないわよね?





 木南さんやその取り巻きに学校についてを一通り案内してもらってから、家に戻る。

木南さんは、幼稚園の頃と違って、周りにとりまきを作る程度には人とコミュニケーション取れるようになったんだな。

成長しているのを見ると、ちょっと嬉しくなる。


「淑美林はどうだった?」

「特に問題は起きてないよ。清彦が得られる騒動で関わった木南のお嬢様と同じクラスになったぐらいかな」

「大丈夫なのか?」


 能明は心配そうにオレを抱きしめてくれる。

以前よりもたくましい身体つきになっていて、安心すると同時にちょっとドギマギしてしまう。

もうかわいい子供じゃなくて、男になっているんだな。

婚約者候補ってだけだから、彼氏とは言えないんだろうけど、オレも女の子らしくなって能明にふさわしくなりたいなと思ってはいる。

身体の方は、発育途上だけど多少は、胸も大きくなり始めたしね。

能明のお嫁さんになりたいと言うのは、前世の時もなかったことだけに、新鮮な感情だ。


「いや大丈夫。清香お嬢さんも成長していたよ。まだ、オレの姉だと言う魔子には会ってないけど、何とかなるんじゃないかな」


 原作の話は、茜に聞いていた知識しかないし、おぼろげにしか覚えてないけど、ゲームの里美と今のオレじゃ全然違うだろうという実感はある。

そもそも、後ろ盾が皆無に近かったゲームの里美と芦屋家がバックになってる今じゃ、比較する方がおかしいほど恵まれているはず。

幼い頃のアドバンテージを含めれば、魔子よりも優秀な生徒として通せるようにはしておきたい。

それ自体は、優秀な娘がいると言うことを印象付けると言われて養女になった以上、芦屋家の一員である義務であるとも思うしね。


「里美、無理はするなよ。男子禁制だから、淑美林に私は行くことはできないが、いつでも私は里美の味方だ」


 嬉しくなってしまう。

こうやって抱きしめられるだけでも幸せだと思うし、心からの言葉をかけてくれるだけでも心が穏やかになる。

今の所、淑美林での生活で乗り越えられないトラブルもなさそうだし、男子禁制でごく一部の先生と職員以外全部女性の学園でも何とかなると信じられる。


 魔習院の方に顔を出したり、渡された教科書を見て予習をしたりしながら、明日から始まる本格的な淑美林学園の生活に備えるオレだった。

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