第二話
「入学おめでとうございます」
オレは、淑美林学園中学の入学式に参加していた。
内部出身者が多く、外部から入学したのは、オレを含めて30人足らず。
まあ、全寮制の学校に中学から通わせるような家は、小学校や幼稚園からも通わせるような家だから、
中学なんて中途半端な時期からと言うのは、少数派なのも仕方ない。
オレだって、実家の強制が無ければ、わざわざ入学する気なんて皆無だった。
入学式の祝辞がやたらと長く続いた後、クラス発表があった。
えっと、オレのクラスは……A組か。
幸い、魔子とは別のクラス。
公立だと、双子や三つ子は別のクラスにするって前世の時は聞いていたけど、この学校もそういう方針なのかな?
……って、木南 清香って、まさか、魔習院にいたお嬢様か?
トラブル起こしてそうだし、さっそく頭痛いな。
目をつけられるのも面倒なので目立たないように、教室へ向かう。
だが、問屋はおろしてくれなかった。
「もしかして、貴女は芦屋さん?」
木南のお嬢様だった。
せっかく気づかれないようにしようとしたのに、すぐにばれるとは。
「お久しぶりですね、木南さま」
当たり障りが無いように答える。
トラブル起こしても、ろくなことにならないだろう。
何より、ここでのオレは、異分子だ。
下手に目をつけられたら何をされるかわかったものじゃない。
「芦屋さんが魔習院ではなくこちらの学校に来るとは、思っていませんでしたわ。
何をやって追い出されたの?」
「いえ、追い出されていません。実家が無理にこの学校に入るように行ってきただけです」
「実家?」
確か、幼稚園の時に扇谷家が実家であることは一度紹介した筈なんだけどな。
「私は、扇谷家から芦屋家に養子に入ったんです。もっとも、三歳の時の話ですから、扇谷家のことなんて殆ど知らないんですけどね」
「扇谷?魔子と関係があるの?」
「えっと、私は魔子の妹に当たります。もっとも、会ったことはありませんけどね」
会ったことないはちょっと言い過ぎかな。
赤ん坊の時に見たこと自体はあるわけだから。
でも、会話なんてしたことないし、他人と言っても、差支えないだろう。
「……貴女、魔子に従う為に来たんじゃないの?」
「えっと、なんでまたそういう話になるんですか??」
まあ確かに、扇谷家の方は、オレをわざわざ入学させたぐらいだから、思惑はあるのだろう。
でも、ここに入学したこと自体、大幅に譲歩しているんだ。
命令なんかに従う気はさらさらない。
「私と扇谷魔子は、敵対関係にあるからよ。
何かと目の敵にされるものだから、貴女を駒として呼びつけたのかと」
「そんな面倒なこと、幼稚園の時で終わりにしてください」
「フフフ、本人を目の前にしてそういうこと言うのね。
でも変わってないわ。少なくとも、貴女の言うことに嘘は内容に思うから、私の友達には、良いように紹介してあげる。感謝なさい」
色々面倒な状況になっているんだな。
魔子の思惑、木南のお嬢様の思惑、教師達の思惑、色々入り混じっているんだろうな。
多少でも平穏な学生生活が送れると思ったオレが甘かったようだ。
まあ、転移の魔方陣での通学を選択しておいて良かった。
下手に寮に入ろうものなら、余計に面倒なことになっていただろうし。
「芦屋さんは、寮はどの部屋に決まりましたの?」
「いえ、私は、家から通学するので寮には入りません」
「???この絶海の孤島でどうやって通学しているというの?」
ちょっとまずかったかな?
まあ、いずれ広まるんだし、それが今だってことにしておくか。
「転移の魔方陣で長距離移動しているんですよ。学校の許可は得てあります」
「……凄すぎるわね。流石は芦屋家。扇谷家なんて目じゃないわ」
……子供のころから見慣れているから気にしたことなかったけど、転移の魔方陣って珍しい存在なんだったな。
不用意に口に出さないように気をつけようっと。




