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淑美林学園の騒動  作者: 三浦安針
第三章
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第四話

「能明と二人でというのはまずいのか?」

 実際に退治の実戦に参加することになると言われて悩んだ末の結論を言ってみる。

能明は信用できるけど、他のその場で会う人に命を預ける勇気が持てないでいた。

能明自身、それなりに陰陽術や一般魔法の腕があるから、二人で戦うとなればそれなりの戦力になる。

そう思ってだったが、

「いや、それは無理だな。能明は芦屋家の跡取りだ。

跡取りである以上その場にいることはできるが、戦闘に参加はできない習わしだ。

里美がそこまで能明を信頼してくれるのは嬉しいけれども、同行者は別に用意することになる」

 そう簡単にはいかないか。

確かに、オレは養女にすぎないけど、能明は直系の跡取りなんだ。

比較できるような存在じゃない。

 前世の経験もあるし、それなりにできるように鍛錬してきたから、ある程度一人でできるとも思うけど、

それを周囲に納得させられるかどうかは別問題だし。

オレはまだ小学生だし、前世の経験を誰にも話してはいない。

いつかは、晴明や能明には話した方がいいとも思うけど、積極的にはなれない。


「扇谷家での経験が対人不信にしているのかもしれないが、芦屋家に連なるものを攻撃するような存在が、退治に参加することはまずないから安心しなさい。

それに、恩を売りたいと思うものこそ、攻撃するメリットがない」


 今日の同行者は、小さいころから何度も会ったことがある分家である三宮家の当主。

全く面識がない相手よりはマシだけど、信用できるかというと……

まあ、一族の重鎮だけに能明の目の前で裏切るとは思えないけどさ。


 敵は、因縁がある獏。

厄介な能力こそあれど、戦闘能力の弱い獏は、初心者相手として良い相手ということなのだろう。

まあ、その獏に殺されたエキスパートと言えた前世のオレがいるわけだけど。


「いざとなったら助けるから、自分で戦いなさい」

 妥当だろうな。

どのぐらい戦えるかのテストでもあるんだろう。


 戦いを仕掛けた時にそれは起きた。


「何をする!」

 後ろで能明が叫んだ。

慌てて振り向くと式神が能明を抑えている。

助けに行こうとしたら、別の式神がオレに襲ってきた。

避けることには成功したが、漠と式神に挟撃されている状態。

しかも、能明が人質に取られているようなもの。

裏切りはあり得ないんじゃなかったのかよ。


「三宮、なにをやっている!」

 オレもそれが知りたい。

いや、それどころじゃないんだけど。

「若君、芦屋家の血筋も引かないのに芦屋を名乗る女をこの世から排除するだけです。

後で咎はお受けしますが、芦屋家の為に必要なことなのですよ」

……全然安全じゃなかったじゃん。

オレだから攻撃と言っているようなもの。

晴明がやたらと同行者を勧めたのも、この機会を待っていた分家からの突き上げもあったのかな?

こうなったら、元を断つしかない。


 まずは、オレ自身を守るために結界を張る。

伊達に前世で味方に殺されていない。

挟撃された時の対策は研究済みだ。


 結界内に入ってしまうとオレの魔法も外に直接送ることはできなくなってしまうけど、式神は別だ。

魚人間の清彦を召喚し、オレに攻撃する三宮当主を攻撃するように命じる。

ヴァイキングダンスを踊りながら突撃する清彦。


 能明と話しているところを後ろから襲ったこともあって、態勢を崩し式神への統制が乱れる。

その隙を俺は待っていた。


「天照浄化!」

獏を一撃で葬るため、天照大神の力を借りて浄化を行う。

流石に獏程度なら、一撃で魔法物質に還元されていった。


 こうなれば後は、式神達と三宮当主のみ。

奇襲ですべてを終わらせられなかった三宮当主は、割と簡単に倒され拘束することができた。


「能明、大丈夫か!」

「大丈夫だけど、里美の方は大丈夫じゃないでしょうに」

 流石に本家の跡取りに対しては、拘束こそすれ手荒なことはしなかったようだ。

能明の無事に安心はしたが、心理的ショックは計り知れない。

同行者は絶対にいらないと言うしかない。

と言うより、同行者なんてつけようものなら分家から手を回された刺客であることを疑わないといけなくなって、

とてもじゃないけど退治に専念できない。


「すまない、まさか三宮が裏切るなんて。何と言っていいか」

 オレを強く抱きしめながら謝罪してくる能明。

能明が悪いんじゃないことはわかっている。

グルだと言うなら、初めに能明を拘束したりしないだろうしな。

それに今みたいに、能明に抱き締めてもらえると温かくて気持ちが良いんだ。

そんな能明を信頼しないなんて考えたくない。

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