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淑美林学園の騒動  作者: 三浦安針
第一章
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第一話

 気がついたら、保育器の中にいた。

最期の訴えには、なんの返答もなかったけど、考えては

もらえたのかな?

ただまあ、赤ん坊の時から意識があっても、正直困る。

何もできないし、色々恥ずかしい。

でも、今に関しては意味があったようだ。

赤ん坊を連れた男女が、保育器の前で医者相手に争っていた。

「早産で生まれるなんて、自分の分をわきまえない子供は、私達の

子供にふさわしくないわ。病院で引き取ってちょうだい」

直感でわかった。

こればオレの母だと。

早産で生まれたから病院で引き取れ、って、何様だよ。

あ、オレのお母様か。

お先真っ暗だな。


 そこで急に思い出した。

母の発言を文字で見たことがあることに。


 従姉妹の茜がライターをやったゲームの主人公の母親が、主人公の

妹に言ったという言葉だ。


 となると、ここは茜がライターとして設定を作った世界で、

オレは主人公の妹なのか?

確かゲーム名は、『淑美林学園の騒動』だったかな。

太平洋の島一つがまるごと全寮制女子校になっていて、幼稚園から

エスカレーターで大学まであるという設定に無茶がありすぎる

だろうという学園が舞台。

この世界では、魔法が一般的で、主人公の魔子は、膨大な魔力に

振り回される幼稚園から純粋培養されたお嬢様だったはず。


 対してオレだと思われる里美は、生まれた時から親に見放され、

常に魔子と比較して劣っていると言われ続け、虐待されて育った。

ある時、食事を与えられなくなり、そのトラウマから食べ物に

貪欲になりデブ化。

勉強もスポーツもダメで、姉譲りの魔法の才能で迷惑行為だけを

やる最低な存在だった。


 もしかして、神様は、茜が設定した最低な里美を更生させることを

茜に変わってオレがやれって言いたいのかな?

まあ確かに身内の不始末だし、あり得ない頭がおかしく

なったんじゃないかという虐待設定の数々を聞いて、オレは里美を

救ってやりたいと思ったのも確かだ。

ただ、オレはゲームをプレイしてないから、イベント的なものは

わからないんだよな。

さすがに異常すぎる設定の数々を聞かされて、やる気になれなかった

のもあるし、純粋に勉強や退魔師の仕事が忙しくて時間もなかった。

こうなると解っていたら、プレイしておくべきだったんだろうけど、

ゲームの舞台自体は、高校になってからだし、それまで乗りきるには、

プレイの有無は関係ないだろう。

世界観自体は、魔法が一般的な現代日本のはずだから、前世の知識も

使えるし、魔法も神術がアドバンテージになるだろう。

何より、退魔師として修練した知識や経験が活かせるはずだ。


 これだけ有利な要素があるなら、悲嘆する必要はないな。


 まあ、親達と医師達との押し問答がまだ続いているのは、

あきれるしかないにしても。

気に入らないから引き取れと言われたって、病院側も、困るだろうさ。

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