第二話
「妖怪退治?」
「そう、陰陽術は気象を司る以外に、悪の魑魅魍魎を成敗するのにも使われているからね」
オレの前世でやっていたことに近いな。
ただ、小学生がやることなんだろうか。
前世のオレ自身、仲間に裏切られたからとは言え、命を落としたんだし。
「もちろん、初めのうちは顔見せレベルで構わない。
ただ、うちの長老(老害)達が、10歳を過ぎたのに妖怪退治に参加しないのは、なぜ養女にしたんだと騒いでくれてね」
ああなるほど。
オレは、役に立つから養女にしたという形だったっけ。
実際、それなりに今までも芦屋家の役に立ちたいと思ったし、仕事を受けたこともあるけど、妖怪退治でも役に立てってことか。
「そういうことなら仕方ないな。オレを芦屋家の養女にしてくれたおかげで今のオレは幸せだと思うし。
その恩返しが必要と言うなら、いくらでも受けるぜ」
「いや、必要ということではなくだね……君が家族になってくれただけで、私達も幸せになれているんだよ。
だが申し訳ないが、長老達のメンツを立てるために申し訳ないが」
「大丈夫だって。ただ、同行者は最初は仕方ないにしても、極力つけてほしくないな」
色々ノウハウを聞くには、同行者が必要なのも確かだろう。
ただ、同行者はいつ裏切るかわかったものじゃない。
色恋沙汰で、恋は盲目なんてやられて再度殺されるのは、ごめん被る。
「え……基本は複数人で倒すんだよ。
それに、君はまだ子供だから、いるだけでいいことの方が多いんだから、同行者がいるのが当たり前だよ?」
「同行者が裏切ったら、いつ殺されるかわかったものじゃない。そんな危険はごめんだ」
「おいおい、裏切るわけないじゃないか。何か誤解しているようだが、そんな裏切りしたら制裁受けるのはわかりきってるんだぞ。
死亡しないまでも、大怪我等が出たら原因が何かを、過去視の魔法で検証して確実に罰せられる。
その状況で、裏切るバカはいない」
「人はそんなに理性的なものじゃないと思うぜ。後でばれるとわかっていても、その場さえ満足できればいいという奴は裏切る。
そんな危険を負いたくなどない」
「……君は生まれで人を信用できなくなっているのかもしれないが、もう少し信用することを覚えた方がいい。
そうだ、能明を常に一緒に行かせるということでならどうだ?
流石に、芦屋家の跡取りの目の前で裏切るようなことはしないだろうし、能明であれば君も信用できるだろう?」
能明なら確かに信用はできるし、一緒にいるなら心強くは思う。
それに、能明の前でとなれば確かに裏切りにくいだろう。
でもなあ、裏切る奴はりくつじゃないのが、前世で思い知らされてるからなあ。
「退治に実際に参加するのは、もうしばらく経ってからだ。それまでに考えておいてくれたまえ」
晴明に悪意がないのは一緒に生活していてわかっている。
その晴明が責任を持って送り出す同行者が変なことしないだろうとは、わかっちゃいるんだ。
本当、前世があんな終わり方をしていなければ、問題なかったのになあ。
東京玄関に行き、魚人間の式神である清彦を撫でながら一人考えるオレ。
盆踊り以外に、最近はヴァイキングメタルに合わせて踊ることを覚えた清彦だけど、こういうときはただ撫でられるに任せてくれる。
結論を出せずにいても仕方ない。
理性的に考えれば、答えは一つしかないのもわかっているんだ。
悔しいという思いが募る。
初めて、殺されたことを恨みに思った。
今までは前世の最期がなければ、と。
能明なら無二の信頼おいていいはずなのに、と。
人を信じられるようになりたい。
人を信じられなくされたことがたまらなく悔しい。




