第三話
「未婚の猫曰く、サザンの樹の元に、間に蠢く天の星が現れた。かわらのネズミが米くってチュウ。石橋の上にも三年。隣のかきは、よく客食うかきだ。はて」
ごめん、予言に文句言うもんじゃないかもしれないけど、ワケわからない。
辛うじてわかるのは、サザンの樹が木南って意味だろうなってことぐらい。
他の部分も何らかの意味があるんだろうけど、現時点じゃなんとも言えないな。
でも、隣の客が良く柿食う客だじゃなくて、隣のかきは、よく客食うかきだというのは、ちょっと怖いな。
相変わらず、日常は謝罪行脚。
勿論、陰陽術や魔術の修練も行っている。
別に全寮制なわけじゃないから、幼稚園での時間以外は、芦屋の屋敷で修練できるわけだからね。
園児なら園児らしく子供同士で遊ぶべきなんだろうけど、魔術や運動の修練よりも、
明らかに園児と遊ぶ方が疲れる現状、勘弁させてほしい。
オレ自身が本気を出すわけには勿論行かず、かと言って怪我とかさせないためには、気疲れが多い。
魔習院が親の対応については放任主義なのって、子供相手で限界だから、親同士は勝手にやってくれってことなのかもとも思う。
鍛練中の休み時間に予言について、晴明の見解を聞いてみた。
「まあ、予言なんてものは直接的には出てこないものだからね。
特に今回は、文字の予言だけに読み方が普通のものと違う可能性もある。
また、平仮名表記のものは、漢字でないことに意味があるのかもしれない。
その辺を考えていくといいんじゃないかな?
もっとも、間に蠢く天の星は、里美のことだと私は思っているよ。
水滸伝で言う天間星と言うと、公孫勝のことだが、今の里美と雰囲気が似ているかもしれない」
水滸伝?中国の奇書か。
あまり詳しくはないけど、確か主人公達が百八の星の生まれ変わりなんだっけ?
……でも、もしそれが当たりだとすると、百八人の園児達を面倒見ることになるわけか?
いや、それは本気で勘弁してほしい。
たまたま一致しただけだよな。
でもそうなると、オレの頭にも星型のほくろがあるのかな?
その辺はわからないけど、ちょっと気になりはする。
予言については気になりながらも、謝罪行脚の日常が再び再開される。
今日詫びる相手は、川原宗春君の付き人達にだ。
清香お嬢様が、裸になった時に股間のものを見て頂戴と騒いだことが原因。
いくら子供とはいえ、恥ずかしすぎるからやめようぜ。
オレ、この件で謝るのはちょっとつらいんだけど。
この家は付き人が夫婦で来ているようだ。
「この度は、清香お嬢様が迷惑を書けてしまい申し訳ございませんでした。
私が代わりに謝罪いたします」
……相変わらず五歳のやることじゃないよな。
「お嬢ちゃんが謝ってくれても、あまり意味はないんだけどね。
旦那様達は、事を荒立てる気はないから安心してくれていい」
と鼠顔の執事が言ってくれて助かる。
……って、かわらのネズミってもしかしてこの人?
「ヨネ、このお嬢ちゃんの為に、ケーキを用意してさしあげなさい」
よね?米って、ヨネとも読むけどまさか……
まさかだった。
元々できちゃった婚だということで、かわらのネズミが米くってチュウってそういう意味?
とあきれるオレ。
でも、予言の対象者が川原の人ということが分かっただけで、それ以上については。
……すぐにわかった。
宗春君にも、頭に星型のほくろがあるそうだ。
となると、オレにもほくろありそうだな。
小さい頃の写真とかないし、ほくろがあるかどうか確認するために尼さんみたいに頭丸めるのも嫌だから、確認できないけどさ。
他の予言も、予言対象を表現するための言葉なのかもしれない。
でも、星辰が揃うとなるとどうなるんだろう。
最悪のことにはならないといいけど、少しでも被害を広めないように頑張るしかなさそうと、覚悟を決めるようにはなった。




