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淑美林学園の騒動  作者: 三浦安針
第二章
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第一話

「幼稚園に通ってくれないか?」

 急に言われたのは、もうすぐ五歳になる三月のある日だった。

陰陽術の習得や魔法、運動などの修練に明け暮れている上に、今さら幼稚園?との思いがあったため、今までは通っていなかった。

小学校から先は義務教育だから通うにしても、幼稚園は、自由なんだし。

でも、わざわざ言ってくるからには、裏があるんだろう。

「それは、オレが通う必要性があるとの理解で良いのか?」

「そうだね。小学校の準備だなんてことは、言わない。いや、広い意味では、そうなりはするけど、本題じゃない」

 黙って続きを促す。

「魔習院のことは、知っているかね?」

 知識としては知っている。

いわゆる名家の子息御用達の学校で、皇族すらも通うことがあるとか。

淑美林と違って共学だし、生徒は基本家から通うと言う違いはあるはずだけど。

「表向きのことなら、ある程度は」

 こう言ってくるからには、裏向きのことがあるんだろう。

「魔習院は、名前に魔がついているだけに、魔力の強い生徒が多く、その養成機関でもある。そこで、君と同じ学年世代に、気になる予言をされた子供が現れてね。旧宮家に連なることもあり、早急に対策の必要性が生じてね」

 なんでも、天に星辰が揃いし時、窓に冒涜的角度が訪れる、と予言されたとのことだが……

ううん、抽象的だな。

まあ、確かに気になりはするけど。

「その子供は、普段髪の毛で隠れているが、頭の頂上に星の形をしたほくろがあってね。それもあって、無視できなくなってしまったんだ」

 ここまで来ると、話が読めた。

オレに護衛兼監視をやれって話か。

確かに、教師側でできることには、限界もあるだろうし、かと言って、オレみたいな転生者じゃなければ、年齢・自我的にこんな仕事を受けて活動するのは、難しいだろう。

「わかった。オレ以外の代役を探すのも難しいだろうし、その役目引き受けよう」

「受けてくれるか、助かる。相手が相手だけに、生まれもそれなりの名家でなければ受けてもらえない可能性があってね。里美なら、その点は問題ないし」

 こんなところで、扇谷のことが役に立つとは。

正直複雑な気分だけど、生まれを変えることはできないし、納得するしかない。

さすがにこの年齢でもう一回死んで、転生やり直しはしたくないし、できるとも限らない。それに、良くしてくれている芦屋の家族たちを悲しませたくない。

里美を幸せにすると、決めたんだしな。


「わかった。で、依頼対象のプロフィールは、どんな感じなんだ?別に後なら後でも良いけど」

「いや、すぐに教える。隠す必要はないし」


 先の大戦に負けたのを機に廃止された楠山宮家の分家、木南家のご令嬢で、清香様。

名前に似合う清らかな女の子。

いや、四歳児で濁りたっぷりじゃまずいじゃんよ。

オレみたいな転生ならまだわかるけど。


 まあ、ご令嬢相手は慣れてないけど、なんとかなりそうかな。

「短期間で申し訳ないんだが、礼儀作法講座を受けてもらう。付け焼き刃でも子供ならなんとかごまかしようはあるが、知らなければ話にならんからな」

 礼儀作法は、前世でも多少習っていたからなんとかなると思ってたオレが甘かった。

礼儀作法にダンスが含まれるなんて、普通思わないよ。

現在進行形で、必死になって練習中だ。

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