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淑美林学園の騒動  作者: 三浦安針
第一章
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芦屋晴明視点

 秩父山中に、神術使用の形跡あり。

この報を聞いて、私自身が確かめにいきたくなった。

神術は、レイテ沖開戦の際に最後の使い手が失われたとされる幻の魔法流派だ。

もっとも使用の痕跡は、最近になっても希に見つかっており、どこかに使い手が残っていると言う噂があった。


 いてもたってもいられなくなり来たのが正しいところか。


 私は、芦屋晴明。

芦屋流陰陽術を今に伝えるものだ。

世間的には、気象操作大手の芦屋天気の若社長と呼ばれることが多い。


 芦屋天気は陰陽術の平和利用を目的としており、先の大戦での中ノ鳥島消滅事件の反省によって作られた金儲けはあまり目的としない会社だ。

そのため、仕事料にこだわらず、同業他社には目の敵にされやすいのが悩みどころ。

裏では、政府に依頼された仕事をしているので、気象操作のみの会社から文句言われても、仕方ない面はあるのだが。


 コホン。


 秩父山中に来て驚いた。

神術ではないにしても、膨大な魔力の使用された痕跡の数々、いや、リアルタイムで魔法が使われている。

気づかれぬように近づくと、一人の幼女がいた。

こちらには気づいていないのか、魔法で獲った魚を解体し、冷蔵保管をする彼女。

その手際と良い、明らかにプロの魔法使いだが、外見がそれを裏切っている。


 彼女が神術使いである可能性も高いし、接触しないわけにはいかなかった。

「お嬢ちゃん」

 気づいてはいるようだが、なかなか返事はなかった


 すったもんだの末、事情を聞き出した今、彼女を手元に起きたいと言う欲求を抑えることは不可能になっていた。

元々優れた術者を一族に迎え入れる芦屋家としては、一族に入れることに抵抗はない。

本人たちの気持ち次第だが、跡取りの能明の嫁にすることも視野に入る。

魔力量は、遺伝の要素もある為、魔力の強い子供同士を結婚させることも珍しい話ではない。


 扇谷家の出方は気になるが、あの家は名族とはいえ、徐々に衰退している。

平安京からの名族であり陰陽術を持つ当家が要望すれば、首を横には振るまい。

名分と実利の両方が、食事すら与えない娘のお陰で手に入るのだから。

里美の気持ちが揺らぐ前に、話を決めないといけないな。


 この度、秩父に来たことは大正解であった。

神術の痕跡の報告をした術者には、後で褒美をとらせよう。

それだけの価値がある情報であったし、こういった些細な報告をすすんで行うような風土作りが大事だからな。


 さて、帰ったら、能明に紹介しよう。

喜んでくれると良いが。

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