表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
淑美林学園の騒動  作者: 三浦安針
第一章
1/40

プロローグ

 オレは、里見清子。


 表向きは、あまり目立たない大学生をやってる。

一応、国立大学の理学部に通ってはいるけど、どこにでもいる大学生にしか

思われてないはずだ。

周り中、男しかいない時点で目立ってる気がしないでもないけど。


 裏では、実家に伝わる神術を駆使して、退魔師をやっている。

退魔師って、なんじゃそら、と普通は思うとオレも思う。

簡単に言えば、一般人には認識できないけど、害を及ぼす魑魅魍魎を退治する仕事だ。

社会的混乱を防ぐために、一般人には存在を秘されているけど、国が退治資金や報酬を

提供してくれるから、ある意味では完全出来高払いの非常勤公務員と言えるかもしれない。

一応名目上は、国土交通省所轄の独立行政法人から仕事を請けていることになっているけどさ。

なんで、国交省かは、陰陽術の管轄が、運輸省の下にあった気象庁だった名残とのことだけど、

どうでもいいか。


 で、今日も退魔師の仕事で呼ばれて、現場に来ている。

オレの場合、八百万の神の神術を使うことがメインだから、浄化や治療は得意でも、格闘は

最低限の護身術はできるぐらい。

肉弾戦はあまり得意じゃない。

勿論、退魔師としてはで、一度実力試しに剣道大会に出たら、県大会突破しかけて、わざと

負けて逃げる羽目になった。

その後での説教が長かったよ。

自業自得だけどさ。


 今回一緒に組む相手は、陰陽師か。

式神を何体も引き連れていて、本人を守らせながら、仲間を護衛したり、敵の動きを封じたり

するのが得意と。

陰陽師は、式神を強めるために、何らかの誓いをたてているというが、大概はホモが女人不犯の

誓いを立てていることが多い。

……今回も例外じゃないようだが、惚れられても彼氏がいるなんて言われて、どうしろと。


 ただ、オレが名前を名乗り返した時に、急に剣呑になられたのが気になるかな。

今回初対面だけに、なにか遺恨があるとは、思えないのだけど。


 退魔師として、巫女の格好をして、戦いに備える。

正装で退治しなければ、魑魅魍魎に礼を失するとのことだけど、礼を通す相手なのか?と

思わなくもない。


 今回の退治相手は、貘だ。

悪夢を食べてくれる存在として知られるけど、実際は、夢なら何でも食べてしまうので、

目指していた夢を食べられて目標喪失して自殺するなんてことになりやすい、凶悪な存在だ。

もっとも、退治は難しくない。


 今日も楽勝で終わるはずだった。



「てめえ、何をする!」

 いきなり、式神に身体を拘束され、動けなくなった。

味方に不意打ちされることは、全く想定していなかったために、簡単に行動の自由を奪われた。

ご丁寧に魔封じの首輪までされてしまって頼みの神術も使えなくなった。


 不意打ちをして来た今回のパートナー(そういえば、名前も聞いていなかったな)に抗議をする。

「私の大事な彼氏を奪った泥棒猫の癖に!何が悪いかは、自分の胸に聞きなさい!!」

 いや、オレあなたの彼氏なんて知らないし。

彼氏いない歴=年齢のオレに何を言い出すんだか。


「えっと、オレもしかして、あんたの彼氏の浮気相手と思われてるの?心当たり全くないんだけど。」

 

「嘘おっしゃい。さとみと言う巫女に誘惑されて、女人不犯の誓いを破ることになったと、

彼から直接聞いた。巫女なんてそんな人数いる訳じゃないから、あなただと一発でわかった」

 あの、オレの実家の里見家だけでも二桁の巫女いるし、さとみって、名字じゃなくて、

名前でも珍しくないよね?

完全な決めつけの冤罪だ。

「地獄で毅の誓いを破らせた罪を購いなさい」

 いや、冤罪だってば。


 とはいえ、絶体絶命のピンチだ。

貘は、たいして強くないとはいえ、動けない相手を殺せないほど弱くはない。

行動を完全に封じられ、神術も使えないのだ。

これがお話だったら、ヒーローが救いに来てくれるシーンだが……


 そんなことがあるわけもなく、オレの生涯は激痛の中で幕を下ろした。


「神様、さすがにこれは、酷くないか?」

 返事はなにもなく、全身の痛みの中で意識が遠退いていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ