2018.03.04(Sun) これからのこと
【最終章 02 これからのこと】
[2018年3月4日(日)]
最近はひとりで出かける時も、怖いと思うような事がすっかりなくなった。央弥の言った「もう怖がらなくていいよ」という言葉が耳に残っている。
その言葉はどんなご利益のあるお札やお守りよりも、俺の心を強くしてくれた。
あいつの事について、これからも心配は消えないとは思う。けど、危ない事はしないって約束してくれたから、それを信じるしかない。
どちらかが疲れて余裕がなくてもどちらかがフォローできるような形で、俺たちは上手くやれてると思う。
もうすぐ央弥の卒業式がある。
俺は卒業と就職の祝いにネクタイを用意していた。
「ネクタイのプレゼントは独占欲の証」だなんて話もあり一度は取りやめたものの、やはりこれを贈りたいと思った。
ーー実際、独占欲なのかもな。
そう自嘲する。あいつがどこへ行っても人に囲まれてモテる事は知ってる。恋愛的な意味のみじゃないけど。
だからって別に浮気を心配してるとかではないんだけど、やっぱり、嬉しいばかりでもない。
独占欲で良い。
だってそういう関係なんだろ、俺たちは。そう思った。
俺はこれからもあいつと一緒にいるつもりだし、もし何かで衝突する時があったって、一緒にいるためにどうしたらいいか考えていくつもりだ。
まだ俺は社会人になってたった2年だし、あいつはまだ社会経験すらないんだけど。
10年後、20年後、その先も……。央弥の隣にいるのは俺が良いなんて、本気で思ってるんだ。
卒業式の翌日の夜は空けておいてもらっている。
サプライズなんてガラじゃないから、何の話をしたいのかはすでに伝えた。
就職祝いを渡す事と、これからの事について改めて話したいって事。そうしたら央弥が嬉しそうに承諾してくれたから、俺も嬉しくなった。
【これからのこと 完】




