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2017.10 某日 夢

【小話:夢】


 [2017年10月某日]




 ーー夢を見た。


 東丸と…央弥と、待ち合わせをする夢だ。


 俺は約束の場所に早めに着いたから、適当なベンチに腰掛けてあいつを待っている。5分程度の遅刻は毎度のことなので慣れたものだ。


 小走りにやってくる大型犬のようなヤツの姿を俺はスマホを弄りながらソワソワと待っている。


 ーー今日は特別な日になる。


 夢の中の俺は漠然とそんな事を考えているのだった。

 少し照れるような、嬉しいような、そんな気分で。


 夢というのは、脈絡がない。

 俺はその後どうしたんだったか。




「辰真さん」




 声が聞こえた気がして目を開けると自分の部屋だった。


 今の声はもちろん夢の中で聞いた声だろう。

 この部屋には俺しかいない。

 でも、やけにリアルな声だった。


「……央弥?」


 馬鹿馬鹿しいと思いつつ、体を起こして呼んでみる。

 部屋はシンと静まり返ったままだ。


 まだ日も上がりきらない早朝、薄明るく照らされた机の上には昨晩から作業途中で閉じてスリープ状態になっているパソコンと参考書やペンやノートが散らかっている。


 仕事に関する勉強をしている途中で、睡魔に勝てず諦めて布団に潜り込んだのだった。

 夢の中の俺は確かに嬉しい気持ちであいつを待っていたハズなのに、妙な胸騒ぎがした。


 ーーこんな事で電話をかけるなんて、からかわれるに決まってる。


 次に会った時に、体調に異変がないか、それとなく聞いてみるくらいに留めよう…と考え直して俺はスマホへ伸ばしかけていた手を止めた。


 まだ起きるには早いが、すっかり目が覚めてしまったな。

 作業の続きでもしようと立ち上がり、ひとまず水でも飲むために冷蔵庫を開ける。


 俺は夢で央弥とどんな約束をしていたんだろうか。

 あんなにソワソワと落ち着かない気持ちで誰かを待つようなことは、子供の頃にしか無い。


 たかが夢の中のことがいつまでも気になって、考えても仕方がない、と俺は意識的に他の事を考えるために水の入ったコップを片手にパソコンを開いた。



【夢 完】

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