2018.03.15(Thu) カミサマ
【小話:カミサマ】
[2018年3月15日(木)]
――また、カミサマを見た。
前に見たのはいつだったっけな。ハッキリ思い出せないけど…。扉の向こうにあの"カミサマみたいなもの"がいたのを、ぼんやりと覚えてる。なんであんなすげーもんが付いてきちゃったのかなぁってずっと考えてた。
辰真さんと一緒に過ごすようになってから、変なモノが見えるようになって、不思議な体験も何度かした。
最初は面白半分から始まった関係で、街中で見るような"変なの"を辰真さんがいつも怖がるから、俺はいつもそれを「こんなのなんでもないよ」って茶化したりして、その度に怒られたりしてた。
そんな事ばっかしてたから、あんなのが付いてきちゃったのかなぁ。辰真さんにバレたら今度こそ怒られるじゃ済まなそうだし、早めにお祓いに行っておこう。
……なんて思ったけど、ふと気になる事があって振り返った。
――話すな。見えてないフリをして、気付いてないフリをして、記憶からも消せ。
辰真さんがいつか言った言葉が頭に浮かぶ。
――でも、そう悪いモンじゃないかもよ。
「なあ、もしかして……」
俺は"カミサマ"に振り返って声をかけ、その目があるであろう辺りに視線を向けてみた。
【カミサマ 完】




