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リトープス:抑えた言葉が流れ出す時
香月よう子さまと紡いだリレー詩は前回までとなりました。こちらと次回は陸なるみ単独の創作です。陸から香月よう子さまに捧げます。
あなたの心がどれほど潤いを失っても
僕は咲いてみせよう
この花が僕の笑顔が
あなたに優しさを思い出させると信じて
心が涸れてしまったとあなたが嘆いても
僕は傍らに寄り添おう
この花が僕の言葉が
あなたの熟れた想いを導き出す筈だから
砂漠の砂礫の石ころの間に
僕を見つけたのはあなた
言葉を抑えて丸まった僕を
慈雨で濡らしたのはあなたが先なのだから
この砂漠の片隅で僕は咲いていよう
あなたが濡らした僕と
僕が温めたあなた
ふたりを祈念するために
流れ出した詩を言祝ぐために……




