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球根ベゴニア:ひと夏の恋の後遺症
蒸し暑い夏が苦手な君は
気温が下がるにつれ輝きを増し
秋の光を増幅して魅了する
まるで季節外れの花火
打ち上げ花火のように華やかで
刹那的な君は
僕との一夏の恋を楽しむと
どこへともなく姿を消した
僕の心に花火そっくりに
火傷の痕をひりひり残して
遊びだったのか
もう気が済んだのかと
面と向かって問いたいのに
君はいない
何処にもいない
君と一緒に見たあの赤い花は
まるで君のようで
僕を誘うように
僕を惑わせるように
このまま冬になれば
融けるように崩れ枯れていくこの花
僕の火傷は凍ったままで
この季節をやり過ごすことだろう




