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クロコスミア:言葉少なに燃えたあの日
堕天使ルシファーの名を冠した花は
火傷しそうなくらいに紅く
晩夏の庭を染め上げる
あなたに堕ちた私
私に火傷したあなた
あなたの前で控えめに俯く
私の顎を軽く持ち上げ
あなたは耐えきれないように
情熱を持って唇を奪う
深くなるキスは理性を奪い
時を忘れさせた
もっとしてって言いたかったのに
もう帰さないって言えばよかった
壊れ物のように私を
大切に扱ったあなた
時を止める魔法は私にはなく
ぎこちなくあなたは去って行った
晩夏の庭に咲く花だけが
私の心にそっと寄り添う
あなたを骨の髄まで虜にしたかった
そんな私の語らぬ心に……