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22本目×スターマイン

「19時半から花火があるみたいですよ!真中さん!行きましょう!」

「まぁ、せっかくだし、見ていくか」


時計を見ると19時20分だ。

10分後の俺は、本田さんと一緒に花火を見ている。

平静を装っているが、楽しみ過ぎて小躍りしそうだ。


「場所はどこですかね?」


周りの人たちを見ると、皆が同じ方向に向かって歩いている。

恐らく、花火が見える場所に移動しているのだろう。


「皆、花火会場に向かってるんじゃない?この流れに付いて行こう」

「なるほど!さすが真中さん!」


周りの人たちに付いて歩くと、川沿いの土手に到着した。

どうやらここで花火が見られるらしい。


「今年、初花火です!楽しみです!」


本田さんが目を輝かせ、ワクワクした表情で、焼きそばを食べている。

こういう子供っぽいところが本当に可愛い。


“ドーン”


大きな爆発音とともに、真っ暗な夜空に花火が打ちあがった。

周りから”おぉー”という歓声が上がる。


「もなかふぁん、すごふですね!ふぇっちゃきれいでふ!」

「あー、そうだな」


本田さんが、焼きそばを頬張りながら、何かを伝えてくる。

恐らく”花火がきれい”とでも言っているのだろう。


“ドンドーン”


連続して花火が打ち上がる。

そういえば、花火を見るのは何年ぶりだろう?

10年は見ていないような気がする。


「久しぶりに見たけど、やっぱり綺麗だな…」


久しぶりに見る花火が綺麗で、思わず独り言のように感想を呟く。


「か、彼女とかと、花火、見たり、し、しないんですか?」


夜空の花火から目を逸らし、隣の本田さんを見る。

本田さんは花火を見上げている。


「彼女、いないけど…」

「そ、そうなんですか。も、モテそうなのに、もったいない…ですね」

「モテそう?いじってるな?」

「も、モテると思いますよ!わわ、私は…」


花火を見上げていた本田さんが、こちらを向き、視線が合う。

今まで聞かれなかったし、自分から言うことでもないので、彼女の有無を話したことはなかった。

でも、なぜそんなことを聞くのだろう?


「急にどうした?」

「べ、別にどうもしてないです!」

「ふーん」


“ドーンドンドン”


モテそうって、どういうことだろう?

本田さんは意外と俺を評価してくれているのか?

会話が途切れたので、本田さんから視線を逸らし、また夜空の花火を見上げる。


「真中さんにとって、わ、私って…、た、ただの、新卒ですか?」


再び本田さんの方を向くが、本田さんは花火を見上げている。

俺にとって本田さんは、この夜空に打ち上げられた花火のように、暗く退屈な日常を明るく彩ってくれる人だ。

明るくて陽気で、感情を素直に表現し、いつも少しふざけている。

そんな本田さんと出会って、俺の日常は変わった。

毎日が、明るさと面白さ、そして、温もりで満ちている。

そんな本田さんが、ただの新卒な訳がない。

この想いを…、伝えたい。


「た、ただの新卒な訳ないだろ…」

「は、はい…」


こちらを向いた本田さんと目が合う。

打ち上げられる花火の音が、全く聞こえなくなった。

代わりに、心臓が”ドンドン”と大きな音を鳴らす。


「俺にとって、ほ、本田さんは…」


“ドンドンドーンドンドンドーンドンドンドン”


花火大会のフィナーレを飾る”スターマイン”が始まり、連続的に打ち上げられる花火の音に俺の声はかき消された。

俺も本田さんも会話をやめ、無数に打ちあがる花火を見上げる。


“これにて花火大会は終了いたします”


スターマインが10分ほど続いたあと、花火大会の終了を知らせるアナウンスが流れた。


「最後、凄かったな…」

「そうですね。綺麗でした…」


スターマインの迫力に圧倒され、放心状態でボーっとしていると、少しずつ周りの人たちが帰り始めた。


「帰るか…」

「はい…」


周りの人たちの流れに合わせて、来た時とは逆の方向へ進む。


「真中さん!私、真中さんが教育係でよかったです!」

「そう?何で?」

「焼きそばを奢ってくれたからです!」

「焼きそばだけじゃなくて、たこ焼きもほとんど食べただろ!」

「また奢ってください!」

お読みいただき、ありがとうございます!

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