39.武器と老人
「それでは困ります。
俺たち一応冒険者なんです。
武器がないとこの先も・・・・」
ロランが言う。
「何で冒険者になったかは知らんがの。
何の力もなく振り回す武器には、意味なぞない」
ぐっ・・・・・正論だ。
「俺たちは、それぞれに強くなりたくて冒険者になったんだ。
今までダンジョンで敵を倒したりして、こうしてそれなりに冒険もしてきた。
その武器を直しても俺たちに返せないっていうなら、俺たちはどうすればいいいんだ?」
「はっ、そんなの自分で考えな」
取り付く島もない。
アリスが、すっと老人の前に立つ。
「おじいさん、教えて下さい。
私、どうしたらそのロッドにふさわしいマジシャンになれますか?」
「アリス・・・・・」
「それは私の家族から渡された、大切なものなんです。
でも、泣いているなんて言われたら・・・・・
家族に申し訳が立ちません」
アリスらしい考えだ。
こういう所が、好きなんだよな。
「俺からもお願いします。
俺ももっと、剣をうまく使えるようになりたいんです」
ロランが続く。
「ふんっ・・・・・」
老人がため息を吐く。
「いいだろう、教えてやろう。
武器を直して返してほしければ、お前たち、俺のところで修行しろ」
「はっ!?」「えっ?」「!?」
は?修行・・・・・?
この爺さんのところで??
「そうさなぁ・・・・10日もあれば少しは変わろうて。
武器にふさわしいかどうかはともかく、マシにはなるじゃろ。
さぁ、どうする?」
この爺さんを信用していいものか・・・・・
しかし、武器は直してもらわないと困る。
俺たちも決して急ぐ旅ではない。
そもそも目的は、もっと強くなること、だったハズだ。
「なぁ、本当に俺たちを変わらせてくれるのか?」
俺は聞く。
「ふん、それはお前たち次第だな」
老人がそっぽを向く。
「俺はこの方を信じようと思う。
先程のアドバイス、とても的確だった」
「わ、私も!
お願いしますっ!」
「ほれ、お前はどうするんじゃ?」
ニタニタと老人が笑う。
くそっ、嫌な爺さんだ。
「そもそも俺は武器を直してもらうわけじゃないからな。
2人の付き添いだ」
「ふん、決まりじゃな」
こうして俺たちは、職人の爺さんのもとで修行することになった・・・・・
何者かわからないが・・・・本当に大丈夫かな??