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78.祭りの夜(6)

ヤバい・・・・・


「ち、違うんだ!

 ゴメン、あのっ・・・その・・・・」


何て言ったらいいんだ!?

風呂上がりの姿に緊張してるなんて言ったら、気持ち悪がられるに決まってる!!

えーと、えーっと・・・・・


「心配してるのに、ヒドイ・・・・・」


アリスがうつむく。

どっ、どうしよう!?

このままじゃ、ますます嫌われちまう・・・・・


「私のこと、そんなに嫌い?」


ドキッ。

嫌いなわけ・・・・・ない。


「そっ、そんなわけないだろ!!!!」


思わずアリスの顔を見る。

しまった、妙に大声を出してしまった。


俺の勢いに驚いた様子のアリス。

目を丸くしながら

「ホントに・・・・?」

と聞いた。


「おう!!」


恥ずかしいけど、誤解されるのは絶対に嫌だ!!

俺は真っ赤な顔で返事をする。


「・・・・・。

 良かった」

へへっ、と満面の笑み。


か・・・・・可愛い!!!

世界一、可愛い!!!!

こんな子の隣にいられて・・・・・

俺は幸せだ。


「変なこと聞いちゃってゴメンね。

 何か疲れてるみたいだし・・・・私、部屋に戻るね。

 シャワーありがとう。

 お邪魔しました。

 ゆっくり休んでね」


あ・・・・・もう行っちゃうのか・・・・

でも良かった。

これ以上は・・・・俺の身がもたない。


「お、おう。

 おやすみっ」


俺の今までの人生で一番、甘い時間だった気がする。


好きな子にプレゼントを買って、一緒に花火を見て。

風呂上がりの姿で、隣で話すなんて・・・・・。

ゲームで言ったら、イベント回みたいな日だった。


昨日は異世界で死にかけてた俺だけど、こんないい日もある!

興奮しすぎてしまって、今日はなかなか寝付けなそうだ・・・・・。





宿で朝食をとりながら3人で話す。


「昨日は楽しかったね!

 でも・・・・イリーナは大丈夫だったかなぁ」


アリスはすっかりいつも通りの様子だ。


「そうだな、心配だけど・・・・・。

 芯の強い方だから、きっと大丈夫だろう。

 俺たちがもっと話を聞いてあげられたら、良かったかもしれないけど。

 あの場に長居するのは、得策じゃなかった」


「そうだよね。

 ロランのおかげだと思うよ。

 私は慰めることしか考えてなかったから・・・・・

 さすが!って思っちゃった!

 あーあ、またイリーナとお話できたらいいのになー」


俺は寝不足の体を起こすように朝食を食べながら、アリスとロランが話すのを聞いていた。

気を抜くと、あくびばっかり出る。


「なぁに~?リュカ。

 昨日はちゃんと寝たの?

 あくびばっかりして~」


おーおー、おかげさまで眠れませんでしたよ!

誰のせいだと思ってるんだっ。


「ん~、ああ、昨日が楽しすぎてさ」

ははっ、と笑ってごまかす。


「まぁ、気持ちは分からなくないよ。

 色々あったし・・・・・。

 体調はいいのか?」


「んー、ちょっと寝不足かな。

 宿を出るのを一日遅らせてもらってもいいか?

 今日は少し、ゆっくりしたい」


「お前がそういうなら、俺は構わないよ。

 な、アリス?」


「うん」


ということで、今日は宿で一日ゆっくり過ごさせてもらうことにした。

ロランとアリスは、それぞれ街に出て装備等を見てくる、と言っていた。




2人がくれた時間に、俺は宿のベッドに寝っ転がりながら、今までのことを思い出していた。


この世界にきた日。

俺はアリスと仲良くすることばかり考えてた。

それなのに、ダンジョンでは異世界に興奮して・・・・周りが見えてなかった。

アリスを助けるロランの姿に、嫉妬したり落ち込んだりしてた。

でも今は・・・・・そんな気持ちが少しずつ薄れていってる気がする。


エストゥルードの城は良かったなぁ。

ロランは今も密かに、イリーナを思っているようだ。

本人はあまり自覚がないようだけど。


スタンリー爺さん、元気にしてるかな?

変な修行だったけど、成果はあった。

偏屈な爺さんだったけど、感謝してる。

アスタノースを出る時に、また爺さんの家に寄っていこう。


それから・・・・・

エルフの里のこと。

王城では内緒にしてきたが、本来であれば国をあげてエルフを護る必要があるだろう。

噂が広まるのが怖くて、あの場では言えなかったが・・・・・

アスタノースの王様は、オーウェンたちにダンジョン調査を依頼したりして、国内のことに気を配っている様子もある。

話せばきっと理解してくれるはずだ。

いつかエルフの里の人たちのためになることを、また出来たらと思う。


そういや数日前には、死にかけてたっけ。

さっすが異世界ってところだけど、あれはマジで危なかったな。

異世界で伝説級のモンスターに会えたのはラッキーだったんだろうけど、そのせいでデッドエンドなんて、悲しすぎる。

まだアリスと・・・・・何もしてないし!


エストゥルードでのこと、アスタノースでのこと・・・・・

この世界での一日一日が濃すぎて、元の世界のことはあまり思い出さなくなっていた。

「人助けをしよう」という旅の目的も決まった。


思い返してみると、まだまだ俺たちに出来ることがある気がするし、旅を続けて2人との仲も深まった気がする。

これから何が起こるか、楽しみだ。

そんなことを考えながら、俺は眠りについた。


目が覚めたら、また新たな冒険が始まる。




第2部はこれで完結と致します。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

第3部の投稿は未定です。

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