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75.祭りの夜(3)


「どうしてこんな所に・・・・・」

ロランが言った。


俺たちも驚いて状況がよく呑み込めない。


イリーナは顔をさっと伏せて

「ごめんなさい・・・・・

 今は急いでいるから」

と言った。


よく考えたら、他国の王女様が1人で共も連れずに、こんな人混みを歩くなんておかしい。

酔っ払いに絡まれても、誰も止めにも入らなかった。

それが1人である証拠だ。


俺たちの前から去ろうとするイリーナの腕を

「行かないで!!」

と、ロランが強く引き止めた。


「あ・・・・・」

とっさの行動に、ロラン自身も驚いた様子だったが

「ここは人が多すぎます。

 ましてや他国。

 イリーナ王女1人では危ないです」

と言った。


「確かにそうだな。

 事情はあとで聞くとして・・・・・。

 とにかく場所を変えよう」




人目を避けて裏路地のような所を探して座り、そこでひとまず話を聞くことにした。


「イリーナ、一体どうしたの?

 こんな格好までして・・・・・。

 何でこんな所に・・・・・」

アリスが問いかける。


「・・・・・・。

 逃げてきたの。

 お父様から」


「そんな、どうして・・・・・?」


あんなに仲睦まじい親子だったのに、一体どういうことだ?


「お父様ったら、私に外交を経験させて下さるっていうから、アスタノースまで来たのに・・・・・。

 お城についた途端、アスタノースの王子と結婚したらどうだ?なんて言うのよ!!!」


『!!!』


「王子と私を引き合わせるのが、本当の目的だったのよ!!

 外交させるなんて真っ赤な嘘だった!!

私を認めて下さったんじゃない、ただの政略結婚の道具だと思っているんだわ」


涙声で言う。

震える肩を、アリスが慰めるように抱いた。


「そうだったんだ・・・・・

 それは嫌だよね。

 イリーナだって、本当に好きな人と結婚したいよね」


「わかってるの。

 私は王女だから・・・・・

 でも・・・・こんなのあんまりよ。

 受け入れられない」


イリーナは静かに涙を流している。


「それで王城を抜け出してきたんですか?」

ロランが聞く。


「ええ・・・・・

 私がいないのに気付いたら、お城は大騒ぎでしょうね。

 今日はお祭りで、人も沢山出ているし、簡単には見つからないと思って出てきたの」


うーん、イリーナの気持ちもよくわかるが・・・・・

このままじゃエストゥルード国王の立場もあやうくなってしまうのでは・・・・・


「イリーナ様、戻りましょう。

 護衛は俺たちがしますから」

ロランが言った。


「嫌よ!

 戻ったら、王子と会わなくちゃいけないし、そうなったら・・・・・。

 嫌!!」


なんだか・・・・・

エストゥルードの城で会ったときの凛とした印象とは違って、今はダダをこねた子供のようだ。


「国王様にきちんと話しましょう。

 外交とおっしゃっていたのは、あながち間違いではないと思います。

 次の世代の国を担う者同士が顔を合わせるのは、お互いの国の発展のために必要なことです。

 国王様だって、イリーナ様のお気持ちを全く無視するような方ではないハズです。

 このままでは、国王様、ひいてはエストゥルードの国権に関わる事態になりますよ」


イリーナがハッとした顔をする。

しばらくの沈黙の後


「わかりました。

 ロラン、リュカ、アリス。

 城までの護衛を頼みます」


そう言って、すっくと立ちがあった。

そこには先程まで涙を流していた少女のような顔はなく、エストゥルードの王女たる風格の女性がいた。





今朝出てきたばかりの城の裏手に回る。

門に立っている兵士に、オーウェンを呼んで欲しいと声をかけた。


ほどなくしてオーウェンが現れると

「どうしたんだ?君たち。

 今朝、城を出たばかりなのに・・・・

 こちらは今大変なことになっていて・・・・・」

きっとイリーナのことだろう。


「我々の国の王女様をお連れしました。

 お城の外で道に迷われていたので」


「!?」


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