表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/45

74.祭りの夜(2)

アリスが食べ物以外のものも見たいと言うので、大通りをそれた小道に曲がる。

こちらでは、古本や小物等が売っているようだったが、あまり店の数は多くない。


おれは調味料の量り売りをみつけて、さきほどの調味料を買った。

屋台で使われているのは液体の調味料だから味も香りも強いが、これは粉末状だから少し風味は劣る、と言われた。

でも、野営の料理に塩味は大切だ。

次に使うのが楽しみだ。


ロランは古本の屋台で何やら話していた。

そういや昔から本が好きだったもんな。


アリスは小物の屋台を物珍しそうに眺めている。

・・・・・そうだ!

何か欲しいものをプレゼントしよう!

これは絶好のチャンスだ!


熱心に見ているアリスの隣に並ぶ。

・・・・・夢中になって俺に気付いてないな。


「わっ、なーんだリュカかぁ!

 びっくりしたぁ」


「何か欲しいものあったのか?

 随分熱心だったから」


「あー、うん、まあね!

 細工がきれいなものばっかりだから、ついつい見入っちゃった。

 このブレスレット、すごく素敵だなと思って。 

 でも、ちょっとお値段が・・・・・」

アリスが段々小声になって言う。


確かに綺麗だ。

金色で華奢なそのブレスレットは、月桂樹の葉っぱのような形に細工されており、エメラルドっぽい緑色の宝石が一粒ついている。

アリスに似合いそうだ。


俺はそのブレスレットを手に取り

「これ下さい」

と言った。


「えっ!?」

驚いているアリスに、買ったブレスレットを差し出す。


「えっと・・・・・

 あの、ほら、大金も入ったしさ。

 俺の命はアリスに助けてもらったようなもんだし。

 まぁ、その、お礼っていうか・・・・・さ」

気恥ずかしくて言葉を濁す。


アリスはふふっと笑って、

「ホントにいいの?嬉しい」

とはにかんだ。


「ね、つけてくれる?」

左手を差し出すアリスに、ブレスレットをつけてやった。


「ありがとう・・・・

 大事にするね」


アリスは愛おしそうにブレスレットを眺めていた。

やった!!プレゼントは大成功だ!!

もっと気の利いた言葉で渡したかったけど、俺じゃ無理だ。

でも・・・・・ちょっとは気持ち、伝わったかな??




ロランと合流して、花火が見える場所まで移動しようということになった。

王城の裏手が打ち上げ場所だから、城の正面に回るといいと教えてもらった。

なんか・・・・・某ディ○ニーラ○ドみたいだな。

俺が最後に行ったのは、確か小学生の頃だったけど。


アリスと花火を見るなんて・・・・・

なんかカップルみたいじゃね!?

ロマンチックで、ドキドキしてきたわ。

まぁ、ロランもいるけどさ。


城の正面に近づくにつれて、人混みが激しくなってきた。


「こりゃー、すごい人だな・・・・・」


ロランとアリスは田舎出身だから、こんな人混みは滅多に見たことないんだろう。

俺は元の世界で何度か経験あるけど・・・・・


「はぐれちゃったらどうしよう・・・・・」

アリスも怖気づいている。


「もう少し人の少ない所を探すかー?

 これじゃ花火どころじゃないだろ」


「そうだなぁ」


などと人混みを前に話していると


「どいて!!!」

声を荒げ、人混みをかき分けて進むフードを被った人物が見える。

こちらに向かっているようだが、人の流れに逆らっているので、なかなか進まない。


そのうちに

「おい!ねーちゃん!!

迷惑なんだよ!いい加減にしな!」

と酔っ払いのような男が怒鳴りつけた。

それでも歩くのをやめないので

「このぉ!!!」

と男が手を挙げる。


とっさに

「危ない!」

ロランが走っていって男の手を受けとめる。

そして女性の手を引っ張ると、自分の方に抱き寄せた。


酔っ払いもロランの姿を見ると、鼻白んでいなくなった。


ロランは女性をかばうようにして、人混みを避けて俺たちのところまできた。


「大丈夫ですか?」

ロランが訪ねる。


「は、はい・・・・

 すみません」


と女性は顔を見せずに言った。


「そんなに急いでどこへ?」


「いえ、あの遠くへ・・・・・」


どういうことだ?


「とにかく、ありがとうございました。

 では」


と去ろうとした女性を、ロランが引き留める。


「もしかして、イリーナ王女様・・・・?」


『!?』


「ロラン!?」


それは・・・・・

深くフードを被っていたが、間違いなくイリーナだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ