71.ダンジョンで(5)
外に放り出された俺たちは、しばし呆然としていたが
「皆、大丈夫か?」
というオーウェンの声でハッと我に返った。
「リュカ、大丈夫!?」
アリスが心配そうな顔で聞く。
「おう、アリスのおかげで助かったよ。
正直死ぬかと思ったぜ」
「リュカ君、それに2人も。
君たちをこのようなことに巻き込んでしまって、申し訳なかった。
リュカくんが無事でなかったら、王命で来た我々も、命がなかったかもしれない。
ダンジョンを甘くみた、私の責任だ。
謝罪する。」
オーウェンが、俺たちの前に膝をついて頭を下げる。
チェスターとビルも同じようにして頭を下げた。
「ああ・・・・・いえ、俺も自分の考えで特攻しちゃったんで。
まさかこんなことになるとは思ってなくて。
だから、謝らないで下さい」
オーウェンたちは何も言わない。
「リュカ、本当に無事で良かった・・・・・
俺は怖かったよ。
お前が死ぬんじゃないかと思って。
もう二度と、あんな無茶はしないでくれ」
ロランが言う。
泣いているような、怒っているような顔。
「うん、ゴメンな。
ホントに・・・・・ゴメン」
皆に心配をかけてしまった。
下手をすれば、オーウェンたちにも迷惑がかかったかもしれない。
俺は自分の行動を反省した。
この世界にも、リュカ・・・・・俺を思ってくれる人たちがいる。
「ダンジョンのことを王に報告しに行かなければ。
私は先に行くが・・・・・
チェスター、ビル。
彼らを城へ案内してくれ。
王には私から話を通しておく」
「承知しました」
「君たち、王城でまた会おう」
と言ってオーウェンは馬を走らせた。
「リュカ殿、お体は大丈夫ですか?
王城まで少しありますが、馬には乗れそうですか?」
ビルが聞く。
「ああ、そこまでなら大丈夫。
ちょっと疲れてるけど、それは皆同じだし」
「わかりました。
では皆様、私についてきて下さい」
2人に案内されて、王城へと行くことになった。
「すみませんが、こちらからお願いします」
馬から降りて、王城の裏手であろう場所から入る。
オーウェンが俺たちを出迎えた。
「よく来てくれた。
王には話を通してあるから、今日はここに泊まるといい。
部屋を用意してもらってある」
「えっ、アスタノースの王城にですか?」
ロランが聞いた。
「ああ、命懸けで調査に協力してくれた者たちがいると言ったら、王が許可してくれた。
それに落ち着いたら明日、私たちとダンジョン調査結果についてまとめるのを手伝って欲しい」
「なるほど、わかりました。
俺たちで力になれることがあれば、喜んで」
「よし、決まりだな。
部屋を案内しよう、こっちだ」
エストゥルードに続いて、アスタノースの王城にも泊まることになるなんて・・・・・
何があるかわからないもんだな。
死にかけた甲斐もあるってもんだ、なんつって。
雪が降る地域のためか、エストゥルードに比べて王城は堅牢に出来ている感じがした。
華美なところはほとんど見当たらない。
「3人部屋で申し訳ないが、こちらだ」
派手ではないがきちんと整えられた部屋。
ベッドも充分な広さがある。
「ありがとうございます。
おかげでゆっくり休めそうです」
ロランが言うと
「良かった」
とオーウェンはほっとした様子を見せた。
「人手の多い城ではないのでね。
何かあったら、この侍女に話を通してくれ。
出来る限りのことはしよう」
「ありがとうございます」
オーウェンが部屋を出て行く。
「はぁ~~~~~~」
俺はでっかい溜息をついてベッドに寝っ転がった。
「大丈夫か?」
ロランが聞く。
「おう・・・・・大丈夫なんだけど・・・・・
なんか眠いわ。
ちょっと・・・・・寝る・・・・・」
俺はそのまま眠ってしまった。




