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70.ダンジョンで(4)

俺はフェンリルの目を狙う。

大抵の生き物は、目が弱点になる。

が、俺の矢も魔法のように威嚇で弾かれてしまう。


オーウェンとロランを相手にしながら、俺たちの矢や魔法を弾くのは、なかなかに労力のいることだと思うのだが・・・・・。

フェンリルは、まったく意にも介していないようだった。


ちくしょう、どうするか・・・・・

矢が弾かれるなら、距離を詰めて威力を上げるか。

オーウェンとロランに集中していれば、俺の攻撃は当たらないとわかっているから隙が出来るのでは?

横の岩壁を駆け上がり、目の高さまでいってから矢を放つ。

捨て身に近い攻撃になるが・・・・


「いくしかないな」


俺はつぶやいて、岩壁めがけて走る。


「リュカ!?」

アリスの叫ぶ声が聞こえた。


助走をつけて岩壁を駆け上がる。

ここだ!!!


と、弓を構えた瞬間、フェンリルがこちらを見た。


ビュッ

と矢を放ったが・・・・・


俺は矢もろとも、フェンリルの前足に弾き飛ばされた。


「ぐあっ」


ものすごい衝撃。

腹に鋭い爪が食い込む。

いってぇ・・・・・・

俺はそのまま床に倒れて動けない。


『リュカ!!!』


アリスとロランの叫ぶ声。

気をつけろ!

俺のことは構わなくていい!

と言いたかったが・・・・・

そんな気力もない。


「ビル!!!早くヒールを!!!」

オーウェンが叫ぶ。


うう・・・・・不甲斐ないぜ。

皆も危ないってのに・・・・・


「皆、ごめん・・・・・」


腹から血が流れ出している。

内臓がやられたのか・・・・・

めちゃくちゃに痛い。


この世界は怪我を治すことは出来ても、生き返ることはできない。

ビルが必死にヒールをかけてくれているが・・・・・


俺このまま死ぬのかな。


限界がきて、目を閉じる。


「リュカ!?嘘でしょ!?

 いやぁああああ!!」


アリスの叫ぶ声。


アリス・・・・・

ごめんな。

最期くらい、笑った顔を見たかった。


瞬間、アリスのロッドから洞窟内を真っ白に染め上げるほどの光が溢れた。

さすがのフェンリルも、驚いて攻撃の手が止まる。


アリスが俺の体にロッドを振りかざし、聞いたことのない魔法を唱えた。

腹の傷が、みるみる癒えていく。


「ん・・・・・・?」


俺は目を開ける。


「リュカ!!!」


アリスの泣き顔。

そして


「お前は、光の魔法の使い手か?」

フェンリルが問う。


「え・・・・・?」


「そうであれば分が悪い。

 貴様ら、とっととここから立ち去れ」


言うなりフェンリルは

「ウオォオオオオオン」

と地響きのするような遠吠えをした。


そして俺たちは、いつの間にかダンジョンの外に放り出されていた。


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