65.エルフの里(12)
里長の家を後にしようとすると・・・・・
家の前に、エルフたちがずらっと揃っていた。
ミルハの両親の姿も見える。
俺たちが驚いていると、
「この度は、私どもを守って下さり、本当にありがとうございました」
と1人の男性エルフが言った。
この人は・・・・・
昨日、儀式のために外に出たうちの1人だ。
「心配していたんです・・・・・
本当に外に出て大丈夫なのかと」
奥さんだろうか、小さい子供を抱えた女性が言う。
「どうしてもあなた方にお礼を言いたくて・・・・・」
別のエルフが言うと
「ほらっ、これ!
持っていきな!」
と、菓子屋のおばちゃんエルフが、小包のような袋を渡してくれた。
「・・・・・皆さん。
わざわざ、本当にありがとうございます」
感極まった様子でロランが言う。
「お礼を言うのはこちらの方です。
人間は野蛮で、我々を脅かす存在なのだと思っていました。
それを・・・・・あなた方は変えてくれた」
「まだ、人間のすべてを信じられたわけではないけれど・・・・・」
「このご恩は、忘れません」
集まったエルフたちが、口々に言う。
ううっ、何だよ、泣きそうになるじゃねーか。
アリスは目に涙を浮かべながら、感謝を述べていた。
エルフたちに見送られながら、里を出る。
帰りも出口を開けてもらわなければならないので、1人のエルフに同行してもらう。
出口を作ってもらい、外へ出る。
「この度は、本当にありがとうございました。
あなた方の幸運をお祈りしております」
エルフが深々と頭を下げる。
「こちらこそ、ありがとうございました。
皆さん、お元気で」
ロランが言うと同時に、出口が消え、滝の音だけが残った。
「なんか・・・・・夢みたいだったね」
アリスがぽつりと言う。
「ああ・・・・ホントに・・・・・」
ロランが言った。
俺も同じ気持ちだ。
けど・・・・・
「さ、ここからどうする?」
聞いてみる。
「ねぇ・・・・・リュカ言ってたじゃない?
困ってる人を助けに行く、って」
「あー・・・それは・・・・
口からとっさに出たんだよ。
ミルハを納得させねぇと、って思ってさ」
「そっかぁ・・・・・」
「でも、いいんじゃないか?」
ロランが言う。
「俺たち最初は、強くなりたくて旅に出たけど・・・・・
その強さは一体何のためなんだろうなって、考えていて。
この里で、エルフの人たちの助けになれたことで、何ていうのか・・・・
ああ、って。
ごめん、上手く言えないんだけど・・・・・」
珍しいな、ロランが言葉を濁している。
「そうそう!私もそうなの!
きっとロランと同じ気持ち!
リュカはどう?
ミルハちゃんに言った言葉は、ただの出まかせ?」
そう言われたら・・・・・
「んや、あれは多分・・・・・
俺の本心だったと思う。
俺もきっと、2人と同じ気持ちだ」
3人で顔を見合わせる。
ふふふっとアリスが笑った。
あはははっ、と俺とロランも笑った。
俺たちの冒険の旅に、ちゃんとした目的が出来た瞬間だった。




