36.アスタノースを目指して(3)
なんとかこの火の威力を増すには・・・・・!
「アリス、風の魔法だ!
さっき覚えたウインディーをあいつに向けて放ってくれ!」
俺は叫ぶ。
「わかった!」
つむじ風のようなものがクマを襲う。
体の炎が燃え上がり、全身に広がる。
クマの動きが鈍くなる。
いいぞ、効いてる!
「リュカ!!
背中を貸せ!!!」
ロランが叫んだ。
「!?」
と同時に俺は馬飛びの馬のような態勢を取り、体にグッと力を入れる。
リュカの記憶か?
俺の背中に重い感触。
ロランが俺の背を踏み台にして、クマの頭上まで飛び上がった。
「うおぉおおお!!!」
ロランが雄叫びを上げて、燃え盛るクマを真っ二つにした。
「やったぁ!
すごいすごい!}
アリスが喜ぶ。
「おお、俺たちやったな!」
ロランも嬉しそうだ。
「おう、まさかここで踏み台になるとは思ってもなかったけどな。
それにしてもお前、あんなに飛べたっけ??」
クマの頭上を遥かに超える跳躍力だった。
ロランは背はでかいけど、その分ジャンプ力がないイメージなのだ。
「いや、俺も驚いたよ。
レベルが上がってるからじゃないか?
思いの外、高く跳べてしまったみたいだ」
ははは、と笑う。
「あれ、これ何かな?」
アリスが言う。
手には青色のオーブのようなものを持っている。
倒したクマから落ちたアイテムだろうか。
「何だろう・・・・・見たこともないな」
「すごい綺麗だね。
何だか吸い込まれるみたい」
3人でオーブを覗き込む。
すると・・・・・・
『???』
人の姿のようなものが映り込んだ。
頭の中に・・・・・声がする。
(お願い・・・・・
早く・・・・・
早くきて・・・・・)
『???』
映像は消えてしまった。
何が映っているかは、ハッキリとは分からなかった。
声は・・・・・
3人とも聞こえたようだ。
「何だろ・・・・?
ちょっと気味が悪いね」
「早く・・・・きて・・・・?
誰かを呼んでるんだろうか?」
「うーん、よくわかんねーけど、まぁ持っておけばいいんじゃね?
もしかしたら高く売れるかもしれないし」
にやりと俺は笑う。
「もう、リュカってばすーぐそういうこと言って~」
アリスは呆れ顔だ。
「まぁ、せっかく見つけたんだし、持っておいたらいいんじゃないか?」
ロランが言って、アリスは腰に下げた袋にそれを入れた。
「よし、中ボスも倒したし、出口までいこう」
クマを倒した俺たちのレベルは、35程まで上がっていた。
ダンジョンを出て、2つ目の街へ向かう。
思いの外、行程は順調だ。
2つ目の街を過ぎれば、あとはアスタノースまで一本道らしい。
あの変なオーブも、どっかで売れるといいんだけどなー。