61.エルフの里(8)
「だ、誰かって・・・・・」
エルフたちが青ざめる。
「この儀式は、あとどのくらいで終わりますか?」
ロランが聞く。
「もう、まもなくですが・・・・・」
「アリス、どのくらいの距離かわかるか?
人数は?」
俺が聞く。
「エレメンツに聞いてみる!」
目を閉じて集中する。
『!?』
エルフ達が驚いた顔を見せた。
「思ったより近いかも!
足音が早い!
ハッキリわからないけど、多分3人くらい!」
「ここは危険かもしれません!
急いでこれをしまって!
あなた方は出口へ!」
青ざめるエルフたちをうながす。
エルフたちは震える手でオーブをかき集めるが、なかなか作業が進まない。
俺たちは周囲を警戒する。
「ロラン!リュカ!
気を付けて!
もう近い!!」
エルフたちは、ようやく全部のオーブを仕舞い終えた。
早く逃がさないと・・・・
ヒュンッ!
矢だ!!
ロランが気付いて、剣で弾く。
これでは・・・・・
逃がすのもかえって危ないか・・・・・!!
「エルフの人たちは、この台座の陰へ!
絶対に出てくるな!!」
俺は言う。
「来たぞ」
ロランが硬い声で言った。
木の陰から、山賊のような男が2人現れた。
「ああ?なんだぁ、お前らは?」
「お前たちこそ何者だ?
何しにここへ来た」
「教える義理はねぇよ。
それにお前らに用はねぇ」
「そちらはそうでも、こちらはそうはいかない」
1人がふんっ、と鼻白んで
「俺たち人を探してるんだ」
と言った。
「人?」
「ああ、とびきり金になる奴らさ」
こいつらやっぱり・・・・
ギリッと相手を睨む。
「でも今日はいねぇみたいだな。
帰ろ~帰ろ~」
と後ろを振りむいた瞬間・・・・
「なーんて言うと思ったかよ!!!」
1人がロランに向けて斬りかかってきた。
ガチン!!!
剣がぶつかり合う音。
「へぇ~俺の不意打ちを受けとめるとはな」
ニヤニヤ笑って言う。
「お前たち、帰る気なんてさらさらなかったろう」
ロランが険しい顔をして言う。
「はっはっは~、バレてら~」
とまた斬りかかってくる。
ガチン!カキン!と剣を受ける。
何やってんだロラン、防戦一方か?
そんなやつ、今のお前なら・・・・
あ・・・・そうか。
モンスター相手じゃないから、本気で殺せない。
しかもここには殺生を嫌うエルフもいる。
血生臭いものを、見せるわけにはいかないのだ。
俺は台座を挟んで、もう一人と睨みあう。
俺はアーチャーだから、近接戦はあまり得意ではない。
相手と距離を取る。
「なんだぁ、お前は逃げ腰かぁ?
ざまぁねえな!」
と相手が剣を持って走って近づいてきた。
俺はとっさに弓を構える。
ヒュン!!
勢いよく飛んだ弓は、山賊の右腕に当たる。
「ぎゃあぁ、痛てぇえ」
剣を落として騒ぐ。
「致命傷にはならない。
こんな攻撃も防げないなら、あきらめて帰るんだな」
俺は言う。
すると、ヒュン!ヒュン!!
俺たち目掛けて矢が飛んできた!
「ウインディ!!」
アリスが魔法を唱えて、矢を弾き飛ばす。
「ナイスだ、アリス!」
「矢は私が引き受ける!!
2人はそいつらを!!」
俺の相手は傷を負っている。
痛みをこらえるのに必死で、戦う気もなさそうだ。
しかしまだ、油断はできない。
アリスやエルフの人たちを守らなければ。
先程から剣を受け続けているロランに視線を向ける。
相手は力任せに斬りつけてきている感じだ。
隙さえつければ・・・・・!!
「このぉ!
一丁前に躱しやがって!
若造のくせに、生意気なヤツだ!!!」
ロランが剣を受け続けるので、相手はイライラしてきたようだ。
「うおぉおおおお!
死ねや!!」
と、雄叫びを上げて勢いよく山賊が斬りかかってきた。
ロランは剣を受けずに、ふっと後ろに下がる。
行き場をなくした剣が地面を打ち、山賊がバランスを崩す。
その首元に向けてロランが剣を突きつける。
「終わりだ」




