51.エルフの里を目指して
9日目。
感謝の気持ちもこめて、朝から3人で家中を掃除してやった。
それから街へ出て、旅支度もした。
「本当にお世話になりました」
「スタンリーおじいちゃま、元気でね」
「まぁ帰りにでもまた寄るよ」
それぞれに別れの挨拶をする。
「おう、気を付けてな」
短い返事。
「さあ、行こうか」
俺たちは歩き出す。
まずはエルフの里を探さなければならない。
大きな山を越えた所にあるらしいと聞いたが、確かな情報はなかった。
とりあえず山に向かって歩き出す。
山の上にはまだ雪が残っているようで、白くなっていた。
さすがにあそこまでは行かないだろうけど、寒そうだ。
山の入り口らしきところまで来た。
標高が高くなるとモンスターも出るらしい。
山を越えるルートがあるから、その通りに行けばいいとのことだ。
道らしいものをたどって歩く。
山を超えるまでどのくらいかかるだろうか・・・・・
山道が険しくなってきたところで、
「少し休憩しよう」
ロランが言って、俺たちは地面に腰を下ろす。
「モンスターが出ないからいいけど、さすがに山道はこたえるね」
アリスが言う。
「だなー、目的地がハッキリしないから、それもなぁ」
そうなのだ。
元の世界でも思ったことがある。
知らない場所に行くときに、行きは遠く感じるが、帰りは早く感じる。
目的地までの距離をなんとなくでも把握しているかどうかで、違うものなのだ。
「そうだなぁ、山を越えたところ、っていってもなぁ」
ロランがつぶやく。
目的はハッキリしているが、目的地がハッキリしないという、なんとも微妙な旅だ。
「さ、でもとにかく行こうぜ。
暗くなる前に野営できる場所を確保しないと」
野生の生き物に注意すれば、山での野営はそんなに危険はない。
1日目の野営場所を決めて、夜を過ごした。
翌日も山を越えるべく歩く。
「あ、この先に川があるみたいだよ」
15分ほど歩くと、言う通り小さな小川があった。
今日は妙に暑い日だったので助かった。
頭から水を浴びる。
「かーっ、気持ちいいな」
ロランと2人ザバザバと水を浴びていると
「あれ?なんか声がしない?」
とアリスが言う。
「ちょっと見てくる!」
「あ、おい!
一人じゃ危ないぞ!」
慌ててロランと追いかけると・・・・・
いた。
子供だ。
「大丈夫?」
アリスが声をかけるとビクッとして顔を上げた。
長い耳に真っ白な肌。
ピンク色の目にはいっぱいの涙。
ふわふわのブロンドの髪。
背中には小さな羽が生えている。
もしかしてこの子供は・・・・・
「あなた、もしかしてエルフの子?」
子供はまたビクッとして震えている。
「怖がらせてゴメンね、大丈夫。
私たちは人間だけど、あなたを傷つける気はないわ。
怪我してない?大丈夫?」
子供はコクコクとうなずいた。
「怪我がなくて良かった。
ね、よかったら、なぜこんな所で泣いているか教えてくれる?」
「・・・・・」
子供は答えない。
「あ、そうだ。
これ、見たことないかな?」
アリスがあのいわくつきのオーブを出して見せる。
「!」
子供が飛びつく。
「お母さんのだ・・・・・」
『!!』




