50.武器と修行(5)
「君たち、なかなか筋がいい。
さすがあの気難しそうな翁が、弟子というだけあるね」
赤髪のリーダーが言う。
「いや、弟子になった覚えはねーんだけど・・・・」
「ありがとうございました。
大変有意義な時間でした」
ロランが言う。
「いや、礼にはおよばないよ。
翁の頼みだからね。
君たちレベルはいくつなんだい」
「35程です」
「35・・・・?
嘘だろ?」
リーダーは怪訝な顔をしたが、
「ふっふっふ、まぁ実践に出てみれば分かるだろう」
と言った。
親切なことにそれぞれにアドバイスもくれた。
ロランには相手の隙を見ること。
その隙に、必殺の一撃のチャンスがあると言っていた。
剣の練習は続けるように、とも。
アリスには、このまま魔法の鍛錬をつづけること。
エレメンツの力を存分に借りられる魔法使いは、珍しいからと言っていた。
俺には弓の威力を鍛えること。
的を狙う能力と、判断力はあるから、あとはもう少し力を乗せられればいいと言われた。
「しっかし、それを接近して補おうなんて考えるアーチャーだからな。
恐ろしいわ」
とも言われた。
なんかここに来てから一番、修行らしいことした気がする。
爺さんに感謝だな。
店に戻ると、爺さんが作業していたが、俺たちの姿を見て
「派手にやったようじゃのう。
良い良い」
と満足げに言った。
「して翁、剣の修理の方は?」
「今しがた、終わったぞ」
と言って、手元の剣を見せた。
「はは、素晴らしい。
さすがはアスタノース一の職人と言われるだけはある」
え、そうだったのかよ、爺さん。
「それではこちらは貰い受けていく」
赤髪のリーダーが言うと
「スタンリーさん、今朝は悪かったな」
チェスターが謝った。
「本当だよ。
お前のせいであやうく修理を断られるところだったんだぞ」
ビルが言う。
「スタンリー翁、感謝する。
君たちも元気で」
とリーダーが言って、3人は店を後にした。
あ、そういやあの人の名前を聞いてなかったな。
ま、縁があったらまたどこかで会うだろ。
剣の修理代が入ったから、今日は外食をしようと爺さんが言った。
俺たちにご馳走してくれるってさ。
珍しいこともあるもんだ。
4人でレストランに入り、食事を頼む。
「明日で9日目か。
予定よりも早く仕上がったの」
と爺さんが言った。
「え・・・・・ということは・・・・・」
「うむ、修行は終了じゃ」
俺たちは顔を見合わせる。
「スタンリーさん、本当にありがとうございました」
「本当に・・・・なんてお礼を言ったらいいか。
今日の手合わせで、自分たちが強くなっているのが、よくわかりました」
「だよなぁ、俺もビックリしたよ。
アリスなんかさぁ・・・・」
それを皮切りに、3人でそれぞれに手合わせの感想を言い合う。
爺さんはそれを、心なしか楽しそうに見ていた。
「してお前さんら、この先のアテはあるのかえ?」
『・・・・・』
「そうだったなぁ、どうしようか?」
爺さんの家に長居してたから、すっかり先のことを考えるのを忘れてた。
「あ!そういえばね」
アリスが言う。
「エレメンツの声が聴けるようになってから、あの青いオーブみたいのの声が、強くなった気がして・・・・」
あのダンジョンで拾ったオーブか。
「何て言ってるんだ?
また早くきて、か?」
「うん・・・・・」
「声のするオーブじゃと?」
爺さんが驚いたように聞く。
「はい、ダンジョンで拾ったんですが・・・・」
と下げていたカバンから出して見せた。
爺さんはしげしげと眺めたあと
「これはもしかするとエルフの持ち物かもしれん」
と言った。
「エルフの?」
「ああ」
「以前に聞いたことがある。
エルフはその魔力で道具に声や姿を乗せることができると」
「じゃあこれはもしかして・・・・・
エルフの誰かの持ち物で、それに声を乗せて呼んでるってこと??」
「その可能性はある」
「何があったのかな・・・・・。
悲しい声」
「なぁなぁ、んじゃそのオーブの持ち主を探して返すってのはどうだ?」
俺は言う。
「そうだな、それは良いアイディアだ」
「わぁ、エルフかぁ。
私、絵本でしか見たことないから、会えるなんて楽しみ!」
こんな感じで、次の目的が決まった。
しかしまさか、エルフの持ち物かもしれないなんてな。
あのオーブを呪いの道具扱いしたことは・・・・・
口が裂けても言えない。




