44.修行?(4)
結局夜まで雨は降り続き、翌朝には晴れた。
俺たちはまた裏庭に集まる。
「さてと・・・・・今日はまた別のことをしてもらおう」
今度は何だろ?
「アリスが昨日、川があると言ってたが、正解だ。
3人でその川に行って魚を獲ってこい。
森を抜けていけばあるから、森でウサギも獲ってきてもらおうかの」
「はぁ、今度は食料調達かよー?」
「ただし武器は渡さんからな」
「ちぇ、ケチくせーな」
「こら、リュカ、そんなこと言うんじゃない。
失礼だぞ」
「でもちょっと、楽しそうじゃない?
魚採り、小さい頃に皆でしたことあったよね?
懐かしい」
スタンリー爺さんから預かった、網とカゴを持って川を探して歩く。
「多分、こっちだよ!
水の音がするの」
アリスに言われてついていく。
ほどなく川が見えた。
が・・・・・
昨日降り続いた雨のせいか、茶色く濁って流れも速い。
これじゃ・・・・
「ここでは魚は捕れなそうだな」
さて、参ったな。
「・・・・・・
こっち」
そうつぶやいて、アリスがトコトコと歩いていく。
ついていくと、川の流れから少し逸れた深くなった部分に、魚がうようよと泳いでいた。
「すごいな、アリス。
何で分かったんだ?」
俺は驚いて聞く。
「なんだろ・・・・
水の流れる音の他に、トポンと水が落ちるような静かな音がしたの。
どこかに、流れが溜まって穏やかなところがあるって思ったから」
へー、そんなもんなのか。
「よし、捕まえよう」
深さがあるからちょっとてこずったが、少し追い立てると、流れの速いところに逃げたがらない魚がぐるぐると円を描き始めたので、それを網ですくってとった。
まぁまぁの数が捕れたので、俺たちは川から離れてウサギを探すことにした。
「なんだ今日は楽勝だな。
ピクニックにでも来たみたいだ」
俺は言う。
「なんか楽しかったね!
ウサギも早く見つけなきゃ」
などと話していると
ガサガサッ
大きな物音がした。
物音の方を見ると・・・・・
「きゃあっ」
アリスが小さい悲鳴を上げる。
クマだ。
でもモンスターではない。
野生のクマだろう。
モンスターよりは恐ろしくはないが、今日の俺たちは丸腰だ。
こいつにだって襲われたら、怪我ではすまないかもしれない。
相手はじっとこちらと見ている。
逃げたら追いかけてくるだろう。
微妙な緊張感が俺たちを包む。
すると・・・・・
ダッとロランがクマに向かって走りだす。
『ロラン!?』
手にはいつの間にか拾ったらしい、太い棒切れを持っていた。
杭にでも使っていたのか、先端がとがっている。
クマは驚いて立ち上がり、ロランを襲おうとする。
「危ない!」
ドッと鈍い音。
クマの鋭い爪より先に、ロランの棒切れがクマの脳天を叩いていた。
ドサッと倒れるクマ。
死んだのか・・・・・?
「多分、脳震盪を起こしてるだけだと思う。
俺も殺す気で殴ったわけじゃないから・・・・・
力は加減できたはずだ。
気が付けば起き上がってくるだろうから、今のうちに逃げよう」
クマを棒切れでやっつけちまった。
しかも殺さずに。
あの一瞬で加減したって・・・・・一体どうやったんだよ。




